Vol.59 『Playa Hermosa』
  2002年10月12日

コスタリカは、大陸なのに“島の匂い”がする所だ。
熱帯雨林や温度のせいか?それとも時間の流れ方が島並みにゆったりしているからなのか?
気がつくと島にいるような錯覚に陥ってしまう。

この辺りでは、自転車でボードをかついでサーフィンに行くサーファーを良く見かけるし、
ヒッチハイクしながら海に行くサーファーも多い。(それでちゃんと毎回海まで行けるのだから凄い!)
地元民にとっては、まだまだ馬が、十分日常の乗り物として機能しているくらいだから、
ようするに、それで成り立っているスピード感なのである。

JACOから南に5km行くと「Playa Hermosa(エルモサビーチ)」がある。
街の喧騒から逃れたい旅人やサーファーが多く住んでいる場所だ。
しばらくこの辺りに滞在して波情報を探してみようと思う。

道
JACOからHermosaへの道。
ホテル
「Fuego del Sol」
今回の滞在先。

滞在先の「Fuego del Sol」は、部屋はそう大したことはないが、一応エアコンも
付いているし清潔。目の前がHermosaビーチという立地条件にも恵まれている。
数人のサーファーが常にたむろしていて、用事がある時には彼らに声かけると、
そのうちの誰かがやってくれるという按配だ。
一体、彼らのうちの誰が従業員なのか今だによくわからない。
サーフィン出来ればそれでいい… みたいな青年達が、部屋を与えてもらう代わりに
働いているのだ。

彼らのやる気の無さといったらスゴイもんがあるが、客は適度にほったらかしにされるので、
それはそれで気が楽だ。一応レストランも併設されているのだが、
外から客が来たためしはない。ただの地元民の溜まり場になっている。
数回食事をしたのだが、試しにもらった領収証は、白い紙にスペイン語で
「ハポン2,000(日本2,000コロン)」と汚い字で殴り書きしただけ…。
そんなんでいいのか?? ってなぐらいのテキトーぶり。

部屋のドアを開けると、地面には“ハキリアリ”が長い行列を作って歩いている。
どうやらホテル玄関から葉っぱを切り出して、我々の部屋の前にある巣まで運んでいるらしい。
距離にして30m以上もある行列だ。“ハキリアリ”のことは、以前TVで観た事があって
知っていたが、実物を見たのはもちろん初めてである。 
それでは、ここで質問!!
彼らが頑丈な顎で木の葉を切り取り、巣にせっせと運ぶのは一体何の為でしょう??
ハキリアリ
ハキリアリ。
地面には一筋の緑色のラインが…。

答えは、ずばり“キノコ栽培”。
運んだ葉っぱを噛み砕いて、菌糸を
植え付け、餌となるキノコを
育てているのだ。
巣の中で湿度や温度も調整しているらしい。
エライッ!
栽培後のカスや糞は、別の穴から外に
絶えず運ばれていて、自然にきちんと
還元されている。
なんともアグリカルチュアルな蟻ではないか?!

外にも蟻がいるくらいだから、当然部屋の中にもいる。
種類も大きいのから小さいのまで様々な種類だ。食べ残しでも置いておこうものなら、
即効、黒い塊がうごめくことになる。
蜘蛛やムカデ、緑色のトカゲ、イグアナ、かって見たことのない配色の鳥とか、
とにかく自然が圧倒的。動物、昆虫、蝶など図鑑でしかみたことのないような
生き物が大集合である。

波と犬
Hermosaの波。
手前はホテルで飼われてる犬。
すごく人なつっこくてカワイイ。

犬とアキヤン
波を見ながらボーッ…。
Hermosaの7kmにおよぶビーチは、コスタリカで最もコンスタントに波があると評判のポイントだ。
ジャングルのような熱帯雨林にブラック・サンド・ビーチ。
波はもろショートボード向きでブレイクも早い。JACO辺りにしばらくいるなら、
ほどなくHermosaビーチのゲティングアウトの大変さについてのエピソードを
聞かされる羽目になるだろう。
スウェルが入ったら、ロングボードで沖に出ることはまず無理だし、板が折れる可能性も高い。
つまり、ここはロングボード向きではないのだ!

JACOは風の向きが合わずクローズアウト気味で入る気がしない。
メキシコ・シティで波乗り出来なかったストレスで、早く海に入りたくてしょうがないのだが、
なかなか入りたいポイントが見つからず、おまけに雨季でいきなり雲行きが怪しくなったりと、
どうも調子がつかめない。

ラビット・ケカイのロングの大会で有名なBoca Barrancaも、雨季の為か海の水は
恐ろしく汚いチョコレート色、しかもワニが出ると聞いてはやる気も失せる。
Esterillos OesteBejuco、Queposという各ポイントは比較的ロング向きと言われているのだが、
我々が行った時には、クローズ・アウト気味か膝波で、残念ながら、まだキレイな波を見ていない。

こうなったらもっと南のManuel Antonioまで行ってみるかと地図を頼りに行ってみた。

コスタリカの国道を車で移動していると、突然対向車にパッシングのようにヘッドライトを
照らされることがよくある。最初は何かと思ったが、これは“前方に警察がいますよ”という
親切なお知らせなのだ。
国道沿いを走ると毎回警察がスピードチェックをする姿を見かけたので、きっと毎日やって
いるのだろう。平和なので、警察もそれくらいしか仕事がないのかもしれない。


レンタカー
おんぼろレンタカー。
椰子林
数キロにもおよぶ椰子林。
こんなに大量の椰子の木を見たのは
初めて。そのスケールに驚く。
「Manuel Antonio(マヌエル・アントニオ)」
珍しい形の国立公園で、ジャングル・トレイルだけではなく、4つの白砂の美しい
ビーチをその中に含んでいる。
近辺にはセンスのいい宿がたくさんあり、ウブドゥによく似た雰囲気。
リバーマウスを渡し舟で渡ると公園の入り口があり、そこで入場料を払って中に入る
システムになっている。一番手前のビーチがサーフィンできるポイント。
この日は残念ながら膝波しかなかったが、波乗りに飢えていたのでとりあえず海に飛び込む。

ビーチ
公園内のビーチの1つ。
ここはサーフィンは出来ないよ。
ジャングル
ジャングル・トレイル。

公園内のジャングル・トレイルは、2時間もあれば歩けるし、イージーだ。
ジュラシックパークさながらのジャングルの間にそっと道路が作ってある形を想像してもらいたい。
両脇のジャングルから、いつティラノザウルスが出てきてもおかしくない光景である。
歩き出してしばらくするとようやく耳が落着つき始め、文明の音が消え去り、
代わりに虫や鳥の声が聞こえてくる。
そのうち、バサバサッ… と何か動物が動く音がしたり、聞いたことのない動物の声などが
入り混じりってくる。巨大なサラウンドシステムだ。

ストレチアなどの南国の花々が雑草のようにあちらこちらに生えていて、
そこには美しい蝶がひらひらと飛びかっている。物音がする方向を見ると
サルが木の上にいたりする。都会の日常からしてみれば、まったく非日常的な空間が
ここに広がっている。極めて平和…。
こういう空間を国がきちんと残しているコスタリカは本当に素晴らしいと思う。

夕日
日が暮れるひと時が好き。
滞在している宿は波の音が
一日中聞こえるオン・ザ・ビーチ。
ただし、そのポイントには入れない。

これは、もう、想像以上にストレスが
溜まるものだ。
最高にキレイな女が目の前にいるのに、
手も足も出ない状態のような感じか…?

コスタリカのロケーションは素晴らしい。
物価も安い。人もやさしい。食事最高… etc。
あとは、波だけなんだよぉ〜〜〜〜!!!
ロング向けの美しい波は一体どこに???
理想の波を探して明日からニコヤ半島北のTamarindoに移動する予定。

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