Vol.60 『Tamarindo』
  2002年10月15日

「Tamarindo(タマリンド)」に来て1週間が過ぎようとしている。
結局JACOではこれといった波に当たらないまま、一旦レンタカー返却の為サンホセに戻り、
翌朝6:00、予約していたGlaylineのバスでニコヤ半島の北部タマリンドに移動したのだ。

到着早々事件勃発!!
当初滞在予定だったホテル前でバスを降り、ホテルマンに言われるがままに、駐車場の
一角に荷物を置いて、部屋のチェックをしていた時のことである。
値段の割りに良くない部屋を見せられ、どうしようか迷っていたその時!
遥かかなたに駐車してあった1台の車が、いきなりバックしてきて、
ギギギギギ〜〜ッ と凄い音がしたかと思うと、我々の荷物を轢いていったのだ!! 

車を運転していたのは太ったドイツ人のおばさん。
(…確認はしていないが、絶対ドイツ人だと思う。以前バイロンベイでとんでもないドイツ人の
 オババがいて迷惑をこうむったことがあるので、ドイツ人の女の人はイメージが悪いのだ。
 そのオババにソックリ!)

哀れマウイで新調したばっかりのバックは、ボロ雑巾のようにあちこち破れて、
しかもドロだらけ…。荷物を開けると、使い捨てカメラや昼食用のランチボックスなどが
砕け散っている。唖然とする我々の前に、車を降りてきたオババは、何を血迷ったか、
“こんな所に荷物を置いたあんた達が悪い”とばかりに、まくし立て始めた。

あやまるどろこか、ひとしきり文句を並べたてて立ち去ろうとするオババ…。
しかし幸か不幸か目撃者がたくさんいたので、逆に皆から攻められ、
最後は聞いてもいないのに弁償するにも自分はお金がない… などとしゃべりまくり、
しぶしぶ30ドル程度のお金を財布から出して「これしかないからっ!」
ブツブツ文句を言いながら渡す有様。(ちなみにバックの値段は$270だった。)

“お金の問題じゃないよっ! まず、あやまるのが先でしょう。” という我々の主張を無視して、
悪態をつきながら立ち去るオババ…。 最低!!!
次に会ったら中指立てるしかないね、これは。

こうしてタマリンドの最初の印象は最悪のものとなったが、
町並み
Tamarindoの町。
気を取り直して新たに宿探しを再開。
当初予定していたホテルはゲンが悪いので
新しい宿を探すことにする。

タマリンドは北部コスタリカのサーフィンの
メッカと言われている町で、JACOについで
有名なサーフシティだ。
町といってもJACOよりさらに小さく、
ホテルやレストランが全部で50件ほど。
そのくせホテルやレストランのレベルは
JACOより洗練されている気がするのは、
最初にこの地に入ってきたのがヨーロッパ人のせいか…?

ほどなく見つけたのは町の中心部近く、海にも
歩いて行ける場所にある 「Villas Macondo」


部屋
「Villas Macondo」の部屋。
部屋
2階が寝室&バスルームになっている。
1泊35$。他に平屋で20$の部屋もある。

管理人
管理人のSean
いつもギターを弾いている。
現在オーナー夫婦はバカンス中で
不在なので、まだ会っていない。
オーナーが留守の間、カルフォルニアから
来ているSeanとスイス人の彼女が、
代わりに宿の管理を頼まれて働いている。
親切でさわやかな管理人だ。

Seanは以前タマリンドに半年程遊びに
来ていて、その時に出会ったオーナーに
頼まれ今回管理人として、この地にしばらく
訪れている。この町には、そういう風にして
次第にコスタリカにハマって移住していく外国人が少なくないらしい。

パン屋
パン屋。ライトバンで直販している。
ここに来るのはいつも昼時。
イグアナ
部屋の目の前の木にはイグアナが…。
最近こういうのを見ても驚かなくなった。

建物は新しく、部屋も2〜3日おきにクリーニングしてくれるので清潔。
エアコンは無いがファンがついていて今の時期は充分だし、ホットシャワーも完備。
キッチンも冷蔵庫もケーブルTVもある。
とりあえず様子見がてら2,3日の滞在を考えていたのだが、意外と居心地がよく快適で
気がついたら1週間滞在しているというわけ。

部屋探しをしていて気づいたのだが、今時ホットシャワー付きを自慢にできる宿というのも
珍しいのではないか? まだまだここは田舎なのだ。

タマリンドにいる人種は大体3種類だ。
元から住んでいる地元民であるコスタリカ人と、ここ10年余りの間に
外国からこの地に魅せられ移住して来たサーファーとエコ関係者。
そしてそれにともなう観光客。
それらの人々が今のところ平和に暮らしているようだ。

どれくらい平和かというと、それは“ヒッチ・ハイク”の数で特に感じる。
“ヒッチ・ハイク”と言えば、マウイのハイクあたりや、オーストラリアのバイロンベイでも、
しょっちゅう見かけたので別段珍しくもないのだが、この辺りはその比ではない。

タマリンドに至る国道こそ舗装されているものの、町中はほとんどガタガタの泥道。
そもそも車というのも地元民のボロボロの作業車か、エコ関係者&サーファーの車しか
走っていない。地元民の足は、いまだに馬か自転車かたまに走っているバスだ。

ちなみに我々は車でどこかに動くたびに毎日乗っけている。
隣に住んでいるアメリカ人夫婦(在住1年)の子供なんか、毎日“ヒッチ・ハイク”で
学校に通っている。地元民も“ヒッチ・ハイク”で通勤したり買い物に行くのが当たり前みたいだ。
今日もまた町のはずれから2人の男の子を乗っけた。

スケボー君
スケボー少年達。
両親と共にカナダから数年前に
移り住んできたらしい。
スケートパーク
町中のスケート・パーク。
舗装道路のないタマリンドでは
スケボーできる貴重な場所。
東京の子供に砂場を作る感覚か?

「知らない人と話してはいけませんよ。」と子供に教える日本の親は多いと思う。
ましてや“知らない人の車に乗る”など言語道断だろう。
ところがここでは、親が子供に 「知らない人の車を見つけて乗せてもらいなさい。」
と言うのはごく普通のことなのだ。
子供達は学校に行くのも遊びに行くのも“ヒッチ・ハイク”で自由に移動する。
これを平和と言わずして何を平和と言おう。

町を歩いていても海に入っていても感じるのは、目が合ったら皆必ず
「Ohla!(オラッ)」と挨拶をすること。アメリカやオーストラリアや他の国でも
それはあるのだが、ここではより一層それを感じる。
目が合ったら挨拶しないと罪といったぐらいタイトだ。

以前、種子島に行った時のこと。車で移動する我々に、通りすがりの子供が
立ち止まってお辞儀をしたのにビックリしたことがあるが、
平和や安全度は、悲しいけど人間の数と関係があるのかもしれない。
人が多すぎて目を合わせないようにしないと生きていけない都会では
不可能な話だ。
サンセット
広いビーチに夕日は沈む。

人間が少ないある一定のバランスの
中では、人は人にやさしくできる。
そういった意味ではタマリンド
落ち着く町なのかもしれない。

しかし… 未だいい波には当たって
いない。移動を考えつつもダラダラと
毎日が過ぎていく。

コスタリカは波乗り目的で来ているので、焦る気持ちはあるのだが、
これだけ迷うということはやはり魅力があるということかもしれない。
本気でイヤならもう退散しているに違いないし…。
旅してきて、新しい土地を把握するには最低2週間は必要だと感じている。
今はもう少しこの地を探索してみようと思っているところだ。

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