Vol.83 『GAME』
 2003年2月27日

アフリカ大陸といえば、未だ“動物達のワイルドライフが残された土地”…。
そういうイメージを持っている人は多いだろう。

TVや本でも「アフリカの動物」の写真や映像は、たびたび目に入るので
イメージしやすいけれど、「アフリカの都市」の映像なんてめったにお目にかかる
ことがない。だからアフリカの町とかアフリカの労働者といわれてもピンとこない
ものである。

だから、子供の頃は、アフリカには象やキリンやライオンが、
そこら辺中に当たり前のようにいると信じて疑わなかった(笑)。
広いアフリカ大陸の中には、多くの国があり、それぞれ都市もあれば田舎もあって、当たり前だけど、別に野生動物がどこにでもいるわけでは無い。

昔、何かのTV番組で、インタビューに答えていたギニア出身のサンコンさんが、
「自分は今まで本物のライオンや象を見たことがなく、日本の動物園で、
 初めて見た。」と語っていたのを聞いた時、“へぇ〜、そんなもんなんだ”
と驚いたのを憶えている。

今や、アフリカの多くの野生動物は、「National Reserve」と呼ばれる
国の指定した保護区内で、のびのびと暮らしているのが現状らしい。
勿論、南アフリカにも、多くの野生動物保護区が存在している。

現在いるJeffrey's Bayの近くにもいくつかの野生保護区があるのだが、
その中でも特に有名なのが、「ADDO Elephant National Park」だ。
Port Elizabethの72km北にあるこの保護区には、たくさんの象が住んでいる。

こじんまりとしたJeffrey's Bayの街は過ごしやすいのだが、
波が無いと別に何もすることがない。そういう暇を持て余した時、近くにこういう
場所があるのはありがたい。早速、遊びに行ってみる。

車を飛ばすこと1時間半。
南アフリカの道路は舗装されていて道も簡単だし、日本と同じ左側通行。
たまに牛、馬、山羊&人が道路を横切るのに注意が必要なくらいで、運転は楽だ。
入場料
入場料はR20。
ちなみにR20紙幣の図柄も象!

入口

入口に置いてあるオブジェは
象の頭蓋骨。デカイ…。

「ADDO Elephant National Park」 が野生保護区に指定されたのは
1931年のこと。その昔、Eastern Cape地方を放浪していた達の生き残りが
ここに保護されている。

もともと20世紀初頭に農夫達がこの地の開拓を始めた時、
達は厄介者扱いであった。その後、世論が高まるにつれ、土地のオーナー達は
互いに譲歩し、を彼らの土地にとどまらせることに同意するようになる。
おかげで、あやうく失われるところだったこの貴重な土地は、の安住の地と
なった。保護区に指定された年にわずか11頭しか生存していなかった達は、
いまや326頭に増えている。

National Park
「ADDO Elephant National Park」内。
広〜〜〜〜い!!
ダチョウ
野生のダチョウ発見。
ダチョウの顔って可愛いと思いません?

野生保護区内を車で探索するのを、この国では『GAME』と呼ぶ。
ようするに、敷地内にいくつかルートが作ってあって、そこを車で廻りながら、
動物ウォッチングを楽しむというもの。巨大なサファリパークみたいなもんである。
ただし、当然ながら柵なんか無いので、開放感があって楽しい。

ここの正確な敷地面積はわからないけれど、かなり広いことだけは確かだ。
だって、見渡す限りの視野に入る土地は、すべてNational Parkなのだから。

以外の動物も、サイ、シマウマ、ヌー、クドゥ、ジャッカル、ダチョウ、猿… etc、
たくさん生息している。途中、「水飲み場」も作ってあり、一定の時間になると、
どこからともなく、動物達が集まってくる。
動物の糞の近くには、フンコロガシの姿も見られる。

象
象は優しい目をしてる。
象の群れ
象の群れ。

お目当てのも簡単に見つかった。
小象、中象、大象と、いろんな大きさのがいる。
すぐ目の前の道路を横切っていったりするので、手が届きそうな
かなりの接近遭遇で眺めることが可能だ。子供なんぞ狂喜乱舞するであろう。

が何十頭かの群れで行動することは知られているが、
その生態にはまだまだ未知のことが多い。
でも、子象をかばうように歩いている母親らしきの姿を見ていると、
少なくとも彼らとは、“愛”の概念を共有できそうな気がする。

カメ
カメもいっぱい。
象
地球上で最も大きなやさしい動物。

水を飲み終えた1頭のが、ゆっくりと歩いて行くのが見える。
しばらくすると、そのは遥か彼方、そのまた奥に広がる巨大な空間に
吸い込まれるように消えて行った。

遠い昔から生き続ける、地球上で一番大きな動物。
大自然の中に暮らすは、動物園で暮らすそれとは比べ物にならないくらい、
もの凄いパノラマ空間で生活していたのであった。

『GAME』を堪能した我々は、再びJeffrey's Bayに戻った。

波
J-BAYの本当の波、見たかったなぁ…。
しかし相変わらず波はイマイチ。
思いっきり緊張してきたのに、
いささか拍子抜けである。
しかも、水は冷たい。これで
真冬になったらどうなることか?
想像するのも恐ろしい…。
それでもローカルの連中に言わせると、
「Good wave , Cold water ! !」
やはり、ここは冬が本場、
極上の波と冷たい海がセットの場所なのだ。

さて、どうしたものか…? と悩み始めた頃、懐かしい人と連絡が取れた。
以前、オーストラリアはバイロンベイに居た時に出会った通称“隊長”である。
彼もそのまま、タイ、ラオス、インド、南アフリカ…etc と旅を続けていた。

たまにメールでやり取りしていたのだが、南アフリカに入る直前に、
彼がまだこの国に滞在していたことがわかり、一応メールを送っていたのだ。
連絡先のTEL番号を押すと、懐かしい声が聞こえてうれしくなる。
話はトントン拍子に進み、“隊長”Jeffrey's Bayにやってくることになった!
隊長
久々に再会した、タイチョー

お互いに1年振りの再会で、
どこから話をしてよいものやら。
その後、どうしたこうした、
あの国はどうだった?
面白い所は発見したか?
と話は尽きない。
こんな風に、旅で出会った人と
また違う国で再会するというのも
不思議で、そしてうれしいものだ。

こうして、3人の共同生活が始まった。幸い滞在先の宿は広く、
泊まる部屋はいくらでもあるという状態だったので好都合だった。
数日間楽しく過ごした後に、再び、この後どう動く?という問題が持ち上がる。

本来、この後は水の温かいDURBANに向かう予定だったのだが…。
こちらに来て以来、いろんな人に聞いてわかったことは、
最近DURBANは、どんどん治安が悪くなってきていて、リラックスしずらいという
ことだった、

現に“隊長”も、人手の多いビーチを歩いていて、いきなりバックをナイフで切られ、
あっという間に引ったくられたらしい。
しかもサメは多いし、カツオノエボシも大発生しているとのこと。
なんか燃えないなぁ…。

「う〜〜ん…。どうする?」 悩む我らに、“隊長”が一言。
「Transkei(トランスカイ地方)面白いらしいですよ。」
「どこ、それっ!?」


MAP
South Africaの地図。
もともとこれといって目的地が
あるわけでもない3人である。
地図を眺めると、車で行けない
こともなさそうだ。
一応海沿いだし、波乗りできるかどうかは
わからないけど、そろそろ他の所も
見てみたい。しばらく滞在して、
南アフリカのことをもっと知りたく
なって来ていた。

「OK! じゃぁ、動こう!」
見たことも聞いたこともない、そのTranskeiとやらに行ってみようではないのっ?
主要な町をチェックして、あっという間にルートが決まる。

南アフリカ国内『GAME』は、まだまだ始まったばかりだ。

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