Vol.93 『ポカラはポカポカ、おいらはズルズル』 2003年4月23日 カトマンドゥからバスに揺られること6時間、のどかなネパールの田園風景を 見ながらポカラに無事到着。 到着したバスに客引き君達が群がってくる。 我々はカトマンドゥで知り合ったラスタさんから紹介してもらったホテル 『Mum's Garden Resort』からお出迎えの車が来ているので今回は安心だ。 車は街を抜けて、ペワ湖を目指す。
『Mum's Garden Resort』は、レイクサイドの南の少し奥まった所にある。 オーナーは日本人女性 宮本ちか子さん。 看板娘ミナちゃん(3歳)の笑顔は最高だ。 ホテルは、なかなか落ち着いていておしゃれ。部屋からヒマラヤも見える。 値段も1泊$60を大幅割引、しかも、おいしい朝食付きにしてもらった。 ここポカラもどうやら、ホテルの供給過剰でどこのホテルもガラガラ。 汚い貧乏宿が多い中、小奇麗でセンスのいいホテルは本当に珍しい。 (詳しく知りたい方は、こちらへ)
ポカラは、想像していた通り、空は晴れ渡り、ポカポカである。 ヒマラヤに近いせいか山もグンと近くに見える。空気は乾燥している。 日本でいうところの“さわやかな高原の初夏”といった天気だ。
ネパールで2番目に大きい都市ポカラは、ペワ湖に沿って2つの街?がある。 レイクサイドとダムサイドだ。湖沿いの道には、安宿、レストラン、古本屋、散髪屋、 MAIL屋、洋服屋、みやげ物屋、トレッキング用品店、貸し自転車屋、ジュース屋、 ・・・・などなど、いろんな店が立ち並んでいる。 レイクサイドの端からダムサイドの端まで、歩いても可能な距離だろう。
翌日、レイクサイドの店を見ながらブラブラ散歩した後、 ボートで湖を渡り『Kapila』という変わったホテルをチェックに行った。 ホテルは湖の反対側の山肌にひっそりと建っている。 オーナーの早川さんは、ネパールに20年住んでる日本人女性である。 色々面白い話を聞かせてもらっているうちに、ここに来たら、 やっぱり 「山」 トレッキングでしょう! みたいな話になった。 山に全然興味がなかったが、どうやらこの街にいると どうしても話題は山になっていく。 少し山にも興味が出てきた、そんな時…。 「裏山にある、日本山妙法まで登ってみてはどうですか? トレッキングの練習に。」と薦められ、調子に乗ってトライする事にした。 「早い人は15分くらいで登りますかねえ。ゆっくり行っても40分位ですし。」 と言っていた早川さんの言葉になぜか燃えてきて、20分を目標にスタートした。 山道をどんどん登って行く。10分。20分。30分。全然寺なんか見えない。 しかも、ビーチサンダルが失敗で、歩きずらい。40分、やっとお寺が見えてきた。 頂上まで登った時には、汗でTシャツがベトベトになってしまった。 山の上の茶屋で、ポカラの街を見ながらコーラを飲んでいた時、 少し嫌な予感がしてきた。雲行きがあやしい。 汗だくになったTシャツも気にかかる。 長居は無用、すぐに引き返すことにした。 途中で薪を背負った村の子供とすれ違う。 山道が多いネパールでは、頭の前にかけたベルトで荷物を支えるスタイルが 主流みたいだ。(インドは頭の上に荷物を乗せて歩くスタイルが多い) 驚いたのは、薪を背負った男の子の山道を歩くスピードが異常に速いこと。 もし、この男の子が薪を背負っていなければ、確かに15分で山を登るだろう。 登る途中ひとり言で何回も、 「本当に15分で頂上まで登れる奴いんのかよおー。」 と文句を言っていた自分が恥ずかしくなった。
山から『Kapila』に戻ってネパールTeaを飲み、ボートで送ってもらう。 湖の風が爽やかなはずが…、なんだか体がゾクゾクするではないか? イヤな予感は当たっていた。 ホテルに着いた時には、頭はガンガンするし、体はゾクゾク。 ベットに倒れこんだ。100% 風邪。間違いなし。 翌日目が覚めた時は鼻がズルズル。ゴホゴホ。最悪! そのうちYumeまで、ズルズルやり出した。うつしてしまった!! 今日はホテルから出ない方がよさそうだ。その夜は2人とも、ズルズル…。 そしてこの日以来、ホテルは病室と化したのだった。 食事はすべてルーム・サービス。 Yume : 「あ〜あ、これじゃぁまるでホスピスに来てるみたいだよ。」 Akiyan : 「でもさ、考えようによっちゃぁ、どうせ入院するんだったら、 ポカポカ天気で、寝ながらヒマヤラが見えて、本が読めて、 好きな食べ物運んでくれて、こんな感じがいいよねえ?」 Y : 「・・・ (無言) ・・・。」 A : 「・・・・ ズルズル。」 Y : 「・・・・ ズルズル。」 そして3日後。風邪は治らず。 日本の薬がまったく効かないので、遂にお医者さんに来てもらう。 簡単な診察の後、謎の錠剤を山ほどもらった。なぜか2人で薬の種類が違う。 絶対同じ種類の風邪のはずなのに??? こんなん飲んで本当に大丈夫なのだろうか…? 3泊のつもりが、風邪をひいた事もあって、結局2週間以上お世話になった。 ここのホテル過去最高の長期滞在者となる(?) 峠は越したが、今だに2人でズルズルやっている。 ズルズルやってる間に42歳の誕生日が過ぎた。
何もする事もないし、去年の誕生日から1年間を振り返ってみた。 まず、この1年で周った国は日記を見ないと思い出せない。 去年の誕生日は、オーストラリアのバイロンベイにいた。 その後、オアフ、マウイ、カウアイ、メキシコ、コスタリカ、ジャマイカ、バルバドス、 キューバ、マイアミ、南アフルカ、モーリシャスを経て現在ネパール。 記憶をたどりだすと、どんどん出合った人の顔が頭の中のスクリーンに登場してくる。 オーストラリアの宿の管理人をしていた理想のヒッピー「カッシー」。 お気に入りのボードを削ってもらった「ジェフ」と親戚のおねえさん位の勢いで お世話になった「美枝子」さん。 マウイの爽やか夫婦「アヤ&タカ」。 ジャマイカのラスタマン「スタンフォード」。 コスタリカの2枚目Surfer「リッチ」。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ etc、到底書ききれるもんではない。 記憶に残る人との出会いは、3ヶ月くらい滞在したところが圧倒的に多い。 それは、旅のリズムみたいな物が関係しているのかもしれない。 初めての土地は、なじむまでに1ヶ月はかかる。 その土地の空気・リズムがつかめてくると、自然と人にも出会う。 3ヶ月目に入ると、なじみの店とかも出来てきて、 ちょっと、住人の気分が味わえ出す。 もちろん、短い期間の滞在でも面白い人には出会う場合もあるが ある程度の時間がないと、せっかく出会ってもゆっくり話し出来ない。 今回旅に出るまでは、せいぜい2週間位の旅行しかした事がなかったので、 海外に知り合いとか友達が出来る事が少なかった。 “旅”と“旅行”の違いは、それにかける時間の差なのかもしれない。 旅先で出会った人も面白かったが、観光もあなどれない。 どこの国にも「18番はこれでしょう!!」みたいな名所があって、 波がない日は色々と見て回った。 ハズレ!もたまにあるが、感動した回数の方が遥かに多い。 後はこの1年で人生最高の波に当たった事。 コスタリカの「オーリーズポイント」と オーストラリアの「カランビンビーチ」の波は 今でも脳裏に焼きついている。 どちらも、海に入っていた人数は3〜4人。 波を競う事もなく、沖からくる綺麗なうねりだけに集中出来た。 きっと、昔は、波の取り合いをする事もなく、こんな感じで波乗りを 楽しんでいたんだろうなあと感じた。 さあ、42歳はどれだけ楽しめるか? その前に早く風邪を治さねば・・・・・・・・・・・・。 おわり
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