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Vol.92 『ネパールでわしも考えた』
 2003年4月17日

これを読んでいる人の中にはいろんな人がいるだろう。
友人、知人、『World Trip』のHPを毎回欠かさず見ているファンの方、
とりあえず成り行き上たまたま読んじゃってる人… etc。
話によるとこのHPにはまってファイル本作っちゃってる人もいるらしい。
その人はこのページはどうするのか?
これをそのファイル本に載せてくれるのか? 少し気にかかっている。

唐突ですが、今回はアキヤマが担当になりました。
学生の頃から国語はボロボロ。
自信は無いが気分は椎名誠で行ってみたい。

さて、モーリシャスからインド経由でネパールに来た理由は勿論、山。
そう、エベレスト登頂である! …と言いたいところだが全然関係ない。
旅で出会った人々から、カトマンドゥポカラには日本食の店がたくさんあると
聞いていた。日本語の古本屋もあるらしい。なんでも温泉もあるという噂。

ヒマラヤでも眺めながら1日中ボーッと本を読む。
美味しい日本食と温泉も外せない。季節はポカポカの春。
この生活を1ヶ月堪能する。いいじゃないの、いいじゃないの…。
簡単な話、『ダラダラしに行こうネパールへ!!』 これがテーマである。
イメージは大自然の中の漫画喫茶てな感じか?

インドのデリーから乗ったRoyal Nepal Airlinesはかなりひどかった。
蚊がブンブン飛んでいる飛行機に乗るのは初めてだ。
もうすぐネパールって時に、1人のネパール人の女が近づいてきて、
「Congratulation!! カチュシケ??」
「・・・・・・ (何?何?) ・・・・・」


訳がわからないまま周りからは拍手され、飛行機中に響き渡るほど大きな音で、
割れたマイクからアナウンスが続く。
「なんだらこーだら… Mr.カチュシケ? カジュシゲ?!」

どうやら叫んでいるのは俺の名前らしい。(秋山和茂の“カズシゲ”)
先程からどーも前の方でなにかゴソゴソやってると思ったら、それは「くじ」のような
もんだったらしく、俺はその「くじ」に当たったらしいのだ。

なんと、賞品はネパールとデリー間往復航空券とカトマンドゥの一流ホテル2泊&1日観光
&記念品であった。(ネパールとインド往復のチケットなんか要らないっーつうの!)
それでも今まで生まれてこのかた「くじ」なんぞ当たったことがなかったので、内心喜ぶ。

カトマンドゥの宿を決めていなかった我々は、飛行機の中で知り合った
変な日本語を話すキャッシュと名乗るホテル経営者に出会う。
「1泊2人で$10でイイよ! 安いでしょ! 景色サイコウ! 私の奥さん女優!」
意味不明の誘い文句だ。
まっ、どうでもいいか…。
どうせ今夜は寝るだけだし、と着いていったら、ホテルはボロボロ。
シーツは穴だらけ。おまけに階段で5F!
ぬるいビールを飲んで寝た。

翌日の仕事は宿探し。
何軒か見たが結局、タメル地区にある「Hotel Nature」にした。
エレベーターもあるし、部屋も清潔、値段は値切ってもいないのに、
勝手に$60を$14にしてくれた。なんと70% OFF!
最近はツーリストもめっきり減っているらしく、どこのホテルも安くなっているらしい。

タメル地区
排気ガスと砂埃のタメル地区。
力車
派手だが、かわいいリキシャが走り回る。

引越しを終え、街に出てみた。
ところが…、空気が汚くて吸えない!!!!!
BALIのクタどころの騒ぎじゃない。タメル地区のメインストリートは大混雑。
原宿の竹下通りくらいのような道を、車、デンブーリキシャー、バイク、自転車が、
「ぷーぷー。りんりん。バリバリ…。」
排気ガスと砂埃をまき散らしながら人ゴミを掻き分けて走っている。

店 店 店 ・・・・・・、そしてまた店。
店はマンダラ絵屋、仏壇屋、洋服屋、山登り屋、シルバー屋、
変わったところだと、笛屋、金たわし屋… もう、なんでもござれ。

そんな中で我々は『地球の歩き方』でチェックしてきた「日本の古本屋」を目指したが…。
・・・・無い!!!!

日本食屋で尋ねたら、一言、
「いなくなったよ…。」 (たぶん無くなったよ!と言いたかったのだと思われる)
YUMEちゃん落ち込む。ガックシ。そしてだんだん不機嫌に…。
ふとみると、その店に怪しい謎めいた女性発見する。
“もしや、ネパールに住み着いた人かも…??”

声をかけてみると、最高に明るい人だった。名前はラスタさんといい、
6年くらいカトマンドゥにいるらしく、何でも知っていた。
勿論、古本屋の移転先も、マッサージの先生も、おいしいお店も、
これから行こうとしているポカラのことも…。
何から何まで、ありがとう!ラスタさん
助かったよ。YUMEの機嫌も直った。
(その後、活字中毒になっていた彼女はなんと、古本屋で5時間もこもっていた)

古本屋

古本屋発見。YUME発狂!!
本
なんと日本語の本の在庫1万冊。

街の中を少し歩くと、寺院や旧王宮が街の中にゴロゴロある。
ヒンドゥー教、仏教、チベット仏教…。いろんな神様がいて、
「オールスター神様の競演」って感じだ。
タメルの街は、夜のほうが好きだ。夏祭りの夜店がズラリと並んでいて、
オレンジ色のお店の明かりがアジアにいる事を感じさせてくれる。

タメルの夜
タメル地区の夜。
夜の店
夏祭り夜店状態のタメル。

「パシュパティナート」はネパール最大のヒンドゥー寺院。
ここに流れる川はガンジス川の上流にあり、『聖なる川』と言われている。
ここには火葬場(アルエガート)がある。目の前で火葬され、灰を川に流す。
輪廻転生を信じて墓をつくらないヒンドゥー教徒。
目の前で火葬される死体。
アルエガートを見ながらデートしているカップル、近所の若者達、観光客、
ただボー然とみているサドゥ(ヒンドゥー教の行者)、サル…。

すぐ側には“死を待つ人々”の為のホスピスがある。
彼らはこの『聖なる川』の側で、最後の時を迎えるその日を待っている。
日本とは死の受け入れ方が違うような気がした。

ビックリしたのは、死体にかけてあった綺麗な布を、親族が聖なる川に投げた
その瞬間に、もうボロボロの格好をした汚い浮浪者みたいなおっちゃんが、
川の中にザバザバ入って布を盗ってどこかに行ったこと。
なんでもありか?この国は?!

色々みた名所の中で気に入ったのは、カトマンドウから東15kmの位置にある
「バクタプル」。ここは、静かに時が流れているところである。
映画「リトル・ブッダ」は、ほとんどここと もうひとつの街パタンで行われたらしい。
街の中は、観光客も少ないし、人々が昔のスタイルで生活していて、ブラブラ歩いていると
本当に映画のセットの中にいる気分にさせてくれる。
「バクタプル」には、GUEST HOUSE もある。
世界遺産の中で泊まって朝夕の街をぶらつくのもいいかもしれない。
おばあちゃん
糸巻いてるばあちゃん。

街

映画のセットのような街。


そうそう、「くじ」の後日談。
カトマンドゥの最後の2日間は、例の「くじ」で当たったホテルを使うことにした。
ホテルはお世辞にも一流とは言えないすっぱい匂いのする部屋だったし、1日観光の
オヤジは英語もままならないただのおっちゃんドライバーが付いただけだった。
記念品は“ザ・ネパール”みたいなダサいCDだけ。
まっ、タダだから文句も言えないが、もう少しなんとかなんないのか?
Royal Nepal Airlines ! 国営だろー!!

それと、期待が高かった日本食について…。
カトマンドゥの日本食屋近況は、色々行ってはみたが期待ハズレ。旅人に人気の『味シル』とか
安いのはいいが、所詮、“学食”レベル。インドかなんかから入ったら、おいしく感じる
のかもしれない (?)。 合格は Sunset View Hotelの『ヒマラヤそば』くらいであった。
とりあえず、観るものは観たし、食いたいモンは食ったし、買いたいモノは無かった。

空気の汚いカトマンドゥから脱出して、ポカラに移動する事にする。
ポカラまではバスで6〜7時間の距離。

朝8時にバスターミナルを出発したのだが、街の中は大渋滞!
30分かかってやっと街を脱出し、スムースにバスが走り出したその時、
大変な事を思い出した。
ヤ・バ・イ
なーんと、ホテルのセーフティBOXの中に貴重品を全部忘れてきてしまったのだ!
どうする??? もうバスはかなり走っている。
バスのスタッフらしき男の子にあせって相談したら、
「OK。 鍵を預かって明日のバスでポカラに持ってきましょう。」 とニコリ。
信用できる訳が無い!!

無理言って、バスを降りタクシーでホテルに帰り、またバスを追いかける。
嫌がるスタッフの男の子を人質みたいに一緒にタクシーに乗せて行ったのは
正解だったと思う。おかげで、現地の人しかわからない近道を抜けれて、
ようやくバスに追いつく。

そして、のどかな田園風景の中を駆け抜けて、いざ、ポカラへ・・・・・。

つづく

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