Vol.15 『NAGIGIA - Part1』
  2001年11月29日

思えばそれは1枚のカタログから始まった。

アメリカの観光ビザは3ヶ月。マウイにいた我々は、オアフ島でのパイプラインマスターズを見て、
ついでにそのまま年越しようという計画だったので、一度アメリカを出国しないといけない。
さて、どこにしようかということになり、タヒチ島かフィジー島がいいだろうという事になった。
タヒチ島は過去行ったことがあったので、どうせなら初めての場所にしようぜっと、
かなりいい加減にフィジーに行くことにしたのである。

カタログ
Nagigia Island

フィジー島には、ナモツやタバルアなど、世界有数のサーフスポットがある。 早速、フィジー専門の旅行代理店に
行ってみた。ところがそれらの島はあいにく予約で一杯で、しかも初心者用の波は無いという噂が…。
さてどうしたものかと悩んでいたら、旅行代理店のスティーブ君が出したのがこのカタログである。

"Nagigia Island"。聞いたこともない。なんでも去年の6月にオープンしたばかりのリゾートらしい。 日本人のスタッフも1人いて、初心者ロングボーダーにも楽しめるポイントがあるとのこと。
「あなたは行ったことあるの?」 とスティーブに聞くと、
「うん?ああ、まあね…。いいとこだよ。」 なんとなくあいまいな返事。
一瞬不安になったが、まぁ、時間もないしそこ行くことにした。
7つか8つかあるbule(ヴィラコテージ)には、我々の他は1組だけしか予約が入ってないという。
“…ということはヘタしたら波独り占め?” とか “南国の美女に囲まれてリゾート気分?” とか
まぁ、各自勝手につかのまの喜びに浸っていたのだった。

夜9:05分発の飛行機でカフルイからオアフ島のホノルルへ。
テロの影響もあり、空港は厳重な警備体制だ。手荷物検査にも時間がかかる。
3時間半程空港で待機して、深夜1:00にフィジーのNADIに向けて飛んだ。
NADIはたくさんの島々からなるフィジー諸島の中で、VITI LEVU島にある空港都市。
途中、日付け変更線を越えるので、NADIの空港に同じ日の朝5:45分に着いたが、
実際は7時間程乗っていたのかもしれない…(?) 2人共、爆睡していたので時差ボケもない。
次の出発は午後1:00なので、空港近くのTANOA HOTELに一旦チェックイン。しばし休息。

時間に間に合うようにホテルを出て再びNADI空港へ。
ここからKANDAVU島まで45分のフライトのはずが…。
混み合ってる風のチェックインカウンター。ドロリン目のインド人系の空港職員。
チェックインしたいと行くと、その辺で座って待っておいてくれという。
しばらく待っていてもいっこうに呼び出しが来ないので、不安になってまた行くと、
今度はサーフボードが乗らないという。 事前に旅行代理店に料金も払ってるし、
確認済みと伝えると、またしばらく待たされる。う〜ん。なんだかイライラしてきた。

さんざん待たされたあげく、信じられないことに飛行機はもう出たと言う。
「はぁ〜? なんでー!!!」 絶叫する我々。
「君たちが遅れたからしょうがない。」 とドロリン目の空港職員。
「だって、目の前にアンタに言われたとおり座って待ってたじゃない?!」
滑走路
KADAVU島の滑走路。

しかも予定の時間より25分も早い!
いい加減な国にはよく、平気で遅れて出発するところはあるが、予定時間より早く出るとこなんか聞いたことない。
しかも今日はもうこの後、飛ぶ予定は無いという。

苦情をまくしたてると、やっとNagigiaリゾートのオーナーに
電話をかけた。 すったもんだの末、チャーター機で
行くことに・・・・当然実費で! OH ! My God ! !
最悪の気分でKADAVU島にむかう。

  チャーター機の中で、気分を取り直しつつ乗ること45分。
滑走路が見えてきた。 ガッガッガッ… おいおい大丈夫か〜? といった感じのジャリ道の滑走路に降りると、そこが空港。
掘っ立て小屋と見間違わんばかりのKADAVU空港であった。
滑走路
ジャリ道の滑走路。
KADAVU空港
にわとりがその辺走り回ってるKADAVU空港。

迎えのスタッフ1人。荷物も当然全部自分で持って運ぶ。
空港を出てジャリ道を歩くと、そこにボートが待っていた。
ここからNagigia島まで1時間。 水しぶきでびしょ濡れになりながらむかう。
しかし…果てしなく遠い。
空港より
ロングボードは重いぜっ。
船
岸辺に待つボート。これに乗ってNagigia島へ。

初めての土地に出会う時、たぶんいろんな要素があるとは思うが(天気・人・風・匂い・体調…etc)、
なんとなく好きとか合う合わないとか、そういう直感があるものだ。
勿論、それは恋愛みたいなもので、 最初の印象が悪くても、その後いろんな新たな部分を発見して、
段々好きになるというのもある。 大体着いたばかりの時は体も疲れてるし、
印象がいいことはどちらかというと少ない様に思う。 (私の場合、BALI島がそうだった。
その後、大好きになり数え切れないほど通うことになった。)
・・・・・が、今回はいつにもまして、パッとしない気分である。
それでも、きっとたどり着けば気分も変わるさっ、とびしょ濡れになりつつボートの上で
自分自身に言い聞かせたのであった。

途中風の影響で、何度か停まりながら、ようやくNagigia島に辿り着く。
いかにも火山で出来た島という感じ。島全体が白っぽいゴツゴツした火山石のようなもので
出来ていた。 早速メインの建物で食事を摂っていると、唯一の日本人スタッフの
タカシさん(通称TAKA)がやってきた。 さわやかな38歳の男性である。
「いや〜大変でしたね。乗り遅れたんですって?」
いやいやそうじゃなくって・・・・・我々が一部始終を説明すると、なるほど、といった顔で一言。
「よくあるんですよ。予約入れといても勝手に来た客乗っけて出ちゃうこと。」
ナギギアの部屋
メインのBULEのテラス。
ナギギアの部屋
我々のBULEの中。一応外にバルコニーもある。

一体どういうとこなんだ?? よくつかめないまま部屋に入る。
ブレの中は清潔でキレイ。木枠で出来たバルコニーもついていてそれなり。
バルコニーに出れば、そこはリーフの浅瀬の海が続いていて、透明度抜群だ。
水上コテージにも見えなくもない。しかし、しばらくして気がついた。なんか変だぞ〜???
そう、この部屋にはトイレも浴室もないのであった!!(聞いてないよスティーブ!)
メインのブレまでいかないとない…。これは不便ではないのか??
不安を残しつつ、それでもまぁサーフィンしに来たのだから、波が良ければいいかと気を取り直す。
キングコングレフト
KINGKONG LEFT
部屋から海を眺めるとポイントが見える。その名も“キングコングレフト”。
グリグリのチューブである。 日本のプロも取材の為一度訪れたことがあるらしいが
ビビッていたそうだ。 6フィート以上になると真価を発揮するここは、ほれた波で
完全にショートボード向きの波。(最初のカタログ参照)
ポイントはすいてることこのうえない。だって誰も入ってないんだから。
「俺でもギリギリかなぁ、ここは…。」とアキヤン。
そんな所、到底今の私には縁のないポイントである。
近くにロングボード用のポイントがあるということで、明日以降行くことにする。

夕食時、ここではメインのブレで、ゲスト全員(2組しかいなかったけど)と
オーナーとTAKAさんで食べることになっているらしい。
かなりのボリュームの食事だ。味はおいしい。だが、なぜかTVが大音響でつきっぱなしである。
こんな陸の孤島のリゾートにTVは似合わないのでは??
しかもメルギブソン主演の「ブレイブハート」だ。血が飛び散る独立戦争映画。
いい映画かもしれないけれど、食事時に観る映画じゃない。
みんなでそれ観ながら食べている。なんだかものすごく変な感じである。

夕食の後、気分を変えて読書でもするかと、本を読み出したのもつかの間、
「プチッ!」 いきなり電気が消えた。
「え〜っ?!」
ここの島は夜の6時〜10:30位までで、電源を落としてしまうのであった。
部屋にはろうそくも、懐中電灯もない。自分の体も見えないくらいの真っ暗さ。
う〜ん。まぁ、今日は疲れてるし、ここはサーフィンするところだし、
皆早く寝るのだろうなぁ…、またしても気を取り直して寝ることにした。

それにしても、今日一日で何度気を取り直したかわからない。しょうがないから眠りにつく。
案の定、夜中に悪夢をみて飛び起きる!あんな戦争映画観たからに違いない。
トイレに行きたいが外は真っ暗で出れるもんじゃない。
あ〜あ。なんだかとんでもないとこ来ちゃったんじゃないの???!

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