Vol.17 『OAHU』 2001年12月12日 オアフ島には過去、数え切れないほど来ているが、サーフィンを始めてから来たのは初めてである。 いつもは見慣れたワイキキビーチも、今回は新鮮な目で見えるからおもしろい。 第一、ワイキキに来て波チェックするなんて、昔は夢にも思わなかったことだ。 ハワイと言えばワイキキ。ヘタしたら行った事が無い人でも、ダイヤモンドヘッドや ワイキキビーチに広がるリゾートホテルが目に浮かぶ。 なんの変哲もないあたりまえの景色。それがサーフィンというチャンネルが ライフスタイルに1つ入っただけで変わって見える。 過去、海を見ても、 海の色とかビーチの美しさとかしか視界になかったのに、 今ではその景色の中に“波”が入っている。 人間とは不思議なもので、チャンネルが1つ増えると、今まで見えなかったものが視界に 入るようになって、世界がより具体的にクリアに見えるものらしい。 ワイキキには、実は、すでに古き良きハワイアンの生活はこっぱみじんに砕けていて無いのだが、 積極的なコマーシャリズムや商業主義のおかげで、今ではりっぱにハワイの一部と化している。 特に、NAGIGIAからオアフ島に入っているので、なおさら、ここが大都会に感じる。 スピード間や人のリズムが思いっきり都会しているので、まだ体がついてきていない。
ライフラインが経たれるとこだったが、 さすがここは ホノルル。出張パソコンサービスなるものがあり、 ものの10分で直してくれた。 「白木屋」で、“イエローページ・ジャパン”も手にいれたことだし、しばしオアフライフを楽しむことにしよう。 今回オアフ島に来た理由は、ずばり!「パイプライン マスターズ」を観る為である。 世界的に有名なこの サーフィンの大会は、今年で31周年を迎え、現在オアフ島には世界中からプロサーファーが集まってきている。 ノースショアに行くと、大会前の プロサーファー達の夢の共演が目の前で繰り広げられている。 8日〜21日まで ウェイティング期間がもうけられており、その期間中で、波のサイズが上がった時だけ 開催されるのだ。 当日にならないとやるかやらないかわからないので、 皆、毎日波チェックに余念がない。 そもそも旅に出た夢の1つに、「パイプラインマスターズ最初から最後まで観る!」というのがあった。 予選から決勝戦までのトーナメント式の大会なので、観光でちょっと観に来るには、 ウェイティング期間が長すぎてなかなか見れないのが実情だ。 過去この大会のスポンサーになっている企業を見るのも面白い。 その時代時代によって、経済状態や、勢いのある企業がわかるようになっている。 今年はちなみにメインのスポンサーは、「Van's」と「X BOX(マイクロソフト社のゲーム部門)」らしい。 その名も「Van's Triple Crown」というタイトル。 サーフィンだけではなく、スノーボード、スケボー等の 横乗り系スポーツの世界で、それぞれ今の時期に大きな大会が行われている。 「Van's Triple Crown of Surfing」は、正確に言うと、いくつかの大会の総称である。 その中でもメインの3つは、「G-Shock Hawaiian Pro (11月12〜25日・ハレイワ)」、 「Rip Curl Cup (11月26日〜12月7日・サンセットビーチ)」、 そして 「X BOX Gerry Lopez Pipe Masters (12月8日〜・パイプライン)」だ。
朝5時半起床して出かけることに決める。 前日、なかなか興奮して寝付けない。特に、「パイプラインマスターズ」を観戦するのが 長い間の夢だったアキヤンは、 10分に1回は起きていたらしくほとんど寝れなかった様子。 遊園地に行く前の子供の心境である。結局ほとんど寝れずに朝出発する。 暗いうちにワイキキを出て、車で進むこと1時間。パイナップル畑を越えて、 ハレイワの街が近づいてくる。 不安なことに車がすいている。 友人の“大会の時は車が渋滞していて…”の声が頭の中でよぎる。 「ひょっとしてやってないんじゃないの?」と不安気味に聞く私に、 「いやぁ〜まだまだこれからでしょう!」と自信たっぷりに答えるアキヤン。
しかしパイプラインのポイントが近づくにつれ、 「・・・・・今日ほど、渋滞が恋しい時はないよ。」と弱気になっていき、ついに到着した。 思いっきり余裕で駐車場に車を止められた時点で、これはもうやってないことは誰の目にも明らか。 ガックリする気持ちを抑えながら看板をみると、やはりやってないとの通知が…。 ビーチに出ると、なるほど思ったより波が小さい。 (・・・と言っても勿論、私には到底入れない!) しょうがない。ビーチに散歩がてら降りて行く。 パイプラインはビーチのすぐそばで波が ブレイクするので、観やすいし、かなり迫力がある。
レジェンドサーファーのジェリー・ロペス氏は、言わずと知れたパイプラインマスターだ。 彼の元住んでいた家は、パイプラインのまん前にある。随分前に売ってしまったのだが、 今ではプロサーファーのハウス的な役割を果たしているようだ。 だって、朝起きたら目の前がパイプラインの波なのだから・・・。スゴイよ。 家をのぞくと、数人のプロサーファーらしき集団が、ウロウロしてる。
その中から、突然少年の様な男の子がヒョイと首を出して波チェックをしているのが見えた。 なんとジョエル・チューダーだ!(天才ロングボーダー) 身軽で砂浜をまるで空気のように駆け下りて、 海に向かって走っていく。 ウァオ! まさに我々の目の前を海に向かって通り過ぎようとしていたので、思わず「写真撮ってくれる?」と聞いたら、 本当に自然に、「いいよ。」 と言ってくれて写真を撮らせてくれた。 「これから海に入るとこ?」 「そう。パイプラインに今から入るとこだよ。」 ふと見ると変わった板を持っている。短い板なのにシングルフィン。視線に気づいたジョエルは、 「この板今日始めて試してみるんだ!」 と楽しそうに話してくれた。すごくナチュラルでメローな男の子。 なんだか妖精みたいなオーラを持ってる子だ。 最後の別れ際に 「GOOD LUCK ! 」 と言葉をなげると、思いっきりさわやかな笑顔で振り返って、「Thank you ! 」 とひとこと言って手を振り、 ものすごいスピードで軽々と沖まで出て行った。 ちなみにノーリーシュでした。人間じゃないかも…?? 大きなセットの波にも、スーッと軽やかに乗るその姿は本当に美しい。 ジョエルの他にも、何人ものプロサーファーらしき人々がたくさんいる。皆、抜群にウマイ! エキスパートオンリーと化したパイプラインのビーチにしばし見入っていたのだった。 大会中止により、時間をもてあました我々は、ノースショアにある「Surf Museum」へ。 ミュージアムといっても、個人でやってるこじんまりとしたなんてことない建物。 敷地内にビデオルームがあり、古いクラッシックなサーフィンビデオなどを観ることもできる。 サーフィンが街の生活サイクルに溶け込んでいるノースショア。 ここに来ると、Hawaiiのリズムを感じることが出来る。
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