Vol.20 『ワイキキで働く人々』 2002年1月15日 “世の中は、物の売り買いで成り立ってる”。 そう感じたのは18歳の頃だったように思う。就職するか進学するかと悩んでいた時、 初めて“お仕事”について考えた。 この世の中に、お金というものがある限り、 人間は何かを売って生活するのである。 作曲家は曲を売ることで成り立ってるし、絵描きは絵を売っている。 スタイリストはセンスを売ってるし、芸能人はパフォーマンスを売っている。 メーカーの社長は物を作って売ってるし、サービス業の人はサービスという物を売っている。 物が作れる人はいいよ。売る物があって。 じゃあ、売る物がない人は何をしてるかって?? ・・・・・やはり売ってるんですねぇ、これが。 人間誰しもが持っている「時間」を、労働という名のもとに切り売りしているのである。 ということで、ハワイは何を売っているか? 昔、「アップダウンクイズ」(古い!)で、優勝したら“ハワイへご招待”というのがあったが、その頃は、 全体的に「楽園のイメージ」というものを、全島をあげて売っていたような気がする。 当時ハワイに行くことは、まだまだ夢の世界であった。1ドル=¥360の時代だから、実際お金持ちが多かったのは事実であろう。 そしてある時から、「観光とショッピング」というものが加わって、一大リゾート地へと発展していく。 たくさんの人々が来るにしたがって、ハワイは、以前の特権階級の人のみを相手に商売するのではなく、 「楽園イメージ」を一般大衆に売り出した。そうして時は流れ現在、ハワイにはワイキキという、 世界中のお登りさんが集まる珍しい場所が出来上がったのである。 今回は、そんなワイキキで働く人々を、ほんの一部紹介したいと思う。
その「オウム屋」は、ワイキキビーチのダイヤモンドヘッドが見える場所にある。 店というもんでもない。 ビーチにパラソルがさしてあり、そこに何羽かオウムが止まってる。 ビーチを歩く観光客に、“ダイヤモンドへッドをバックにオウムと一緒の写真を撮って売る”という商売である。 その場所がサーフポイントの前にあるため、毎日波チェックいく。「オウム屋」の前を通るので、否が応でも、仕事っぷりが目に入り、なんだか妙に詳しくなってしまった。 波チェックの合い間に「オウム屋」チェックをするようになってしまったという訳である。 働く人は全部で5人。ローテーションが組まれてる。驚くことに、オウムにもローテーションがあったのに後日気がついた。 「オウム屋」の顧客ベスト3は…!? 第1位はなんといっても『子連れのファミリー!』 この場合、通りががった子供の手にオウムを乗っける。(先発のオウムは大体決まっていて、コロリと死んだように丸くなってジッとしてる奴。) 驚き喜ぶ子供…。これでほぼ決定!あとは、それを見た両親が、“あらあら、しょうがないわね…。”と笑いながら写真を撮ってピース。スムーズに交渉成立のパターン。 第2位は『白人の仲の良さそうな老夫婦』。 この場合、ビーチの散歩の途中、オウムを見つけてしばし二人でボーッとオウムを見ながら話しをしていると、いつの間にやら肩にオウムを乗せられる。 おまけにレイまで掛けられてビックリしている所を、ハイパチリ…。 第3位は『世界中の田舎者』。 この人達は、最初からオウムに興味津々。ただただ単純に、このオウムと一緒に写真を撮る事に酔いしれる。もっとも楽な客といえる。 大きな写真で1枚$17。この値段が高いか安いかは人によって様々だろうが、今まで商売として成り立っている以上、顧客は常にいるらしい。 まぁ、考えようによっては、“ダイヤモンドヘッド・南国の鳥・ビーチ”、これぞ“ザ・ワイキキ”というロケーションの中に自分がいる! というのは、定番過ぎて恥ずかしいけれど、なかなかレアな景色かもしれない。 毎朝レイを掛けられてる客を見る度に、「おー、今日も朝から捕まってるっ。」と確認しつつ海に入って行くのである。
ハワイの最大大手顧客は、なんといっても日本人。その究極の仕事がこれ。「ビラ配り」。 一応アメリカ合衆国なのに、“日本人だけの為にビラを配る”という仕事である。 場所はカラカウア通り、DFSの前。一平方メートル辺りの日本人の人口率No.1の場所である。 日本人相手の商売としては、位置取りは正しいと言えよう。 働いている人は全員外国人。それも韓国人、フィリピン人などのアジア人が多い。 DFSの2階に“Jamba Juice”というスムージー屋があるが、その店の窓際のカウンターに座って、外を眺めると、あら不思議?そこは新宿歌舞伎町…。 ビラを配ってる人々は、不思議と真面目にやる気満々で明るい。 日本語で書いてある以上、日本人の顧客が多いのであろう「ポルノショップ」。 この「ポルノ」という単語。日本ではすでに死語でしょう!これがメインストリートに存在していること自体が凄い。 日本では「アダルト」という単語でとっくにポップ化してしまったのに、ここではまだ「ポルノ」で通用している。 一昔前にタイムスリップ…。「アダルト」という単語より「ポルノ」という単語の方が、なぜか隠微な空気が漂うから不思議だ。
ここにはワイキキならではの景色が映ってる。 それは、「金属探索屋」である。(正式名は知らない。勝手にそう呼んでるだけ…。) ワイキキビーチに朝〜夕方に登場する人種である。ある時は海の中に入り、そしてまたある時は、ビーチで寝そべる人の合い間をぬうように、ウロウロしている。 彼らの仕事が、ビーチクリーンなのか、金目の物を探しているのかわからない。 今度会った時に是非、聞いてみたいと思う。 ここには、特殊な観光地としての独自の仕事が沢山ありそうだ。 ワイキキは“渋谷に海がくっついた”様な場所なので、一日の労働時間が長い。 店も遅くまでやってるし、忙しさは東京並だ。便利になっていくのは良いけれど、働いている人達が、ここでは、ある時から仕事が楽しくなくなってきているような気がしたのは私だけか…? つくづく、50年代〜60年代のワイキキを見たかったなぁと思う。 たぶん、当時のハワイの人々は、「楽園イメージ」を売ることに誇りを持っていたのではなかろうか? 「楽園のイメージ」とワイキキに1ミリもズレがなかった時代。 それを売っていた人々は、働くことが楽しくでしかたがなかったのに違いない。 まだまだ変わりゆくワイキキ…。是非良い方向に進化していって欲しいと願う。 |