Vol.21 『BYRON BAY』 2002年1月25日 新しい土地で“Comfortable Zone”を見つけるのには、人はどれくらいの時間がかかるのか? 地理の確認、街や人の様子、海チェック、温度差、お金の単位、時間の流れ方…etc、把握するものは多い。 見知らぬ空間に出会う時、人は様々な形で、その情報を吸収していくものだ。 最初は浅く印象だけ。そして、段々と本当の情報と時間の過ごし方がわかってくる。 オーストラリアに到着して1週間。ようやく“Comfortable Zone”を見つけ始めたところである。 思えばここまで来るのに長かった…。 気ぜわしいワイキキから逃げるようにして到着したブリスベン。北のヌーサに行くか、南のバイロンベイに動くか? まずは波情報のチェックも兼ねて、「サーファーズ・パラダイス」へ動く。 ちょうどストームが来ていて天気も悪く、ここで1泊することになった。 「サーファーズ・パラダイス」。 ここはともかく名前が凄い。それだけでホームランのネーミングだが、さてその実態は…?! なにやら“小ぶりなワイキキ”といった感じで、印象が薄い。 ヌーサの方には波が無いという噂を聞き、迷わず、翌日レンタカーを借りて、バイロンベイに向かった。 景色がどんどん田舎になっていくにつれ、なんだかウキウキしてきた。 とてつもなくだたっ広い大地が広がっていく。ようやくオーストラリアに来た感じがしてくる。 島にいると、視界に映る景色の果ては海になるし、その先は遠い外国になっていたりする。 想像力も簡単に完結し易く、心地よい世界だ。 しかし、ここオーストラリアは、世にも珍しい“一大陸に一国家”! 当然、視界の大地の果ては、どこまでもどこまでも自分の国なのであった。 この地に住む感覚というのは、しばらく居ないと把握できそうにない。 オーストラリアは6つの州と2つの特別区から成り立っている。 この巨大なパノラマ国家(日本の約22倍もある!)に住む人口は現在たったの1800万相当!! 内陸や西部には未開の地がたくさんあるので、ほとんどが東海岸に住んでいることになる。 我々が向かった「バイロンベイ」もそこにあった。 「バイロンベイ」はオーストラリアの最も東にある人口5000人ほどの小さな街…と聞いていたのだが、 ちょうどシーズン真っ盛りで、夏休みの学生やら観光客で街もビーチもごったかえしていた。 早速宿探しをするのだが、なんとMOTELもバッグパッカーズもホテルも一杯! 散々探して、ようやく1部屋空いてるホテルを発見。とりあえず、泊まるとこを確保したので海へ…。 不思議だけれど、海に入ると妙に落ち着く。
翌日から宿探し開始。 夏真っ盛りのバイロンベイは、恐ろしく暑く、日差しは殺人的である。 その中で、ツーリストインフォメーションやら、不動産屋を廻って、もう2人共フラフラ…。 わかったことは、シーズンのバイロンベイは、ホテルの値段も高く(サーファーズパラダイスより断然高い!)、 ホリデーアパートメントもほとんどない!ということだった…。 こうなったら、バックパッカーズや飲食店の掲示板や新聞で、ホームステイかシェアできる部屋を探すしかない! ミッション・イン・ポッシブル並みに動く2人。猛暑の日差しの中、掲示板や新聞のチラシを集めまくり、いい感じの連絡先にTEL掛けまくり大作戦が始まった。
いくつか見て廻ったが今ひとつ気に入らない。 日は暮れていく…。あせる2人。そんな中で、一番TELの応対のよかった宿を最後に見に行った。 バイロンベイの街から離れること車で10分。ここまで来ると、街の喧騒から離れられて少しホッとしてくる。 ウッドフェンスに囲まれたその家は、裏は森。殺人的な日差しもここでは無縁。 虫の声と、鳥の声であふれている。家の離れを貸してくれるという。トイレ、バスルーム、キッチンはメインの建物の中にあり共同で使う。 といっても、結構立派な家だ。メインの建物と離れが全部で3つ。 気に入った!! 早速引越しすることに決定!
現在、ここには我々以外に5人が住んでいる。もともとオーナーが、ヒッピーのコミューンにいた人なので、住民もソレ系の人がほとんどである。 ドイツ人の元大学教授で最近リタイアした男性とか、いろんな人がいてオモシロイ。管理人のカシーは、もろヒッピーという風貌で、裏の森にキャンピングカーを改造して住んでいる。 最高にやさしくて親切だ。
すぐ近くには、サーフポイントの「ブロークンヘッズ」もあるし、街にも他のポイントにも近くて便利。 ここに移って以来、子供の頃の夏休みくらいぐっすり眠れている。 日中は涼しく、夜になると、外は満天の星空…。 BGMは鳥と虫とカエル、そして謎の動物の鳴き声(コアラに似た動物らしい。とにかく、なんかいろいろいる!!)。 宿も落ち着き、ようやくバイロンベイを楽しむ気分に近づいてきた。 アキヤンは絵を描き始め、私はメールを打ち始めている。 どうやら我々の“Comfortable Zone”はこの辺から始まるらしい。 |