Vol.22 『THE PASS』 2002年1月31日 オーストラリアは広大だ。 この広すぎる大陸を把握するなんて所詮無理な話。 なんたって、200年程住んでる現地人でも、内陸地は未開の土地として残している程である。 もう、手がつけられないくらい広〜いのだ。 視界に入る景色も、パノラマ写真でも無理!というくらいのスケール。 ビーチもゆうに何kmあるし、街をはずれると、牧草地や山が広がっているのだけれど、それもまたとてつもなく遥かかなたまで止めどもなく広がっているのであった。 丁度、パノラマ写真のサイズ×3回分くらいの視野である。 写真を撮っても、実際の空間を現せなくてガッカリすることも多い。 こんなバカでかい空間で生きてたら、本当に小さいことで悩んでいられなくなるだろうなぁと思う。 オーストラリア人のおおらかな気質は、この圧倒的な自然との共存でできたものなのだろう。 「No worry」。オージーがよく口にするこの言葉にも、この大自然の中では妙に納得してしまう。 オーストラリアに来て、早2週間。すでに大陸全般を見て廻ろうなどという気は毛頭ないが、東オーストラリア一体を廻るのも、広すぎて大変だと感じている今日なのでした。
さて、夏休みシーズンで大混雑していたバイロンベイ。 1月26日のオーストラリアデイを境に、徐々に人が減っていき、町も少しは落ち着いてきたようだ。 バイロンベイは小さな町だが、常に若い旅行者やサーファーでにぎわっている。 町を歩いていると、サーフボードを持った若者が必ず視界に入るし、車ですれ違う対向車にも、サーフボードを積んだ車が圧倒的に多い。 海に入ってるのも、子供から、ティーンエイジャー、おじさん、おばさん、おじいさんまで…。 そう、ここはサーフィンがジョギングくらい当たり前のスポーツ&娯楽の町なのである。 バイロンベイ自体がビーチに囲まれた岬なので、海にかこまれていてるから、ここがサーファーの町になったのは当然なのかもしれない。
ビーチは広いし、砂も細かい片栗粉みたいな砂。歩くと“キュッキュッ”と音がする鳴き砂だ。 バイロンベイには、いくつかサーフポイントがあるけれど、もっとも有名なポイントはやはり「ザ・パス」だろう。 「サーフィン・ア・ゴー・ゴー」によると、「…4〜5フィートの波が500メートルほど続く。」とある。 500メートル〜?! 凄いじゃないの!!と早速行って見た。 「ザ・パス」は、メインビーチの端に位置している。 朝一にもかかわらず駐車場は一杯。どうやら波が上がっているらしい。噂を聞きつけてサーファーがどんどん集まってきている。見晴台に登って波チェックすると、結構サイズが上がっていた。 広いビーチにキレイにうねりが入っていく。テイクオフした人を見ていると、確かに延々乗っている。 「お〜〜スゴク長く乗ってるゾぉ〜!」。入るしかないでしょう、これは! 波は分厚くてキレイ。乗りやすそう! アキヤンは一発狙いで沖に。私はインサイドに入ってみた。 インサイドと言っても、ビーチは恐ろしく広いので、そこから乗っても200メートル以上は余裕で乗れる。 岸まで行くとさあ大変。景色が違う?! 「えーっ?こんなとこまで来ちゃったの??」というくらい遠くまで来てる。 しかたなしに、ボードを抱えて、最初にゲッティング・インした場所までトボトボとビーチを歩く。 結構果てしない…。こういう時はショートボードはいいなと思う。ロングボードは重いよ! そういえば、さっきからやけに、ビーチをサーフボード持って歩いている奴が多いなと思った。 なんと岸まで乗った人が、皆サーフボードを抱えて、また最初にゲッティング・インした場所まで、ビーチを延々歩いて戻っているのである!! こんな風景見たことがなかったのでちょいと驚く。 私自身、ボード持ってこんなにビーチを歩いたことはないっていうくらい歩いた。 この日は特にカレントもきつく、4〜5回も乗ればグッタリ。 確かに波は最高だと思うけど、あんまり好きになれそうにない。 だって、海の中は大混雑!!夏休みシーズンという事があったにせよ、尋常じゃない人・人・人! ポイントブレイクだし、沖の1点を目掛けて、人が一斉にパドルして行く。しかも皆ウマイ。 波に乗った後も、大勢の沖を目掛けてパドルする人達を避けながら乗らなければならず、大変だ。 「Hey!」「Hey!」という掛け声も飛びかっていてうるさい。 若者の前に前乗りしたおじさんなんか、「Hey! ファックユー!」 と、延々罵倒されながら、300メートルくらい乗っていた。気持ちいいんだか悪いんだかわからない。 人が多すぎるのである。やはり町だからしかたないのかも…。 何度か足を運んだが、状況は同じだった。この人込みは苦手だ。
それはここにある「The pass cafe」が気に入っているから。 店もなにげにオシャレだし、食べ物もおいしい。かかっている音楽もセンスよし。 なによりも、暑い日中にここに寄ると、カフェの中を涼しい風が通り抜けて最高だ。 見たことないような鳥もよく来るし、イグアナ(?!)だっていたりする。自然の中にポーンとある、すごく気持ちのよいカフェだ。 値段少々高めの為(勿論、東京に比べたら安い)、サーファーの姿は少ない。 ここは“波が上がると流行らない”という不思議な店である。理由は駐車場。 サーファーで駐車場が一杯になるので、お店目当てに来る客が入れないからだ。 お店の人が、「まったく今日は波がいいから、大損だぁ〜…」と思ってるかどうか知らないが(?)カフェに人が居ない時、そういう時は必ず波が良い。 日本の海にもこういう場所があればいいのにね。 なぜかポイントの前には「海の家」やペンション風喫茶店があったりして…。景観台無し。 それも日本の風情さっ!という意見もありましょうが、私としては、出来ればその「海の家」の2代目かなんかが、こういう異国のビーチライフを経験して、是非、イイ感じのカフェでも出してもらいたい!と切に願っているのでした。 |