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Vol.32 『Blues&Roots Festival』![]() 3月は南へ北へとよく移動した。 ほとんど毎日、違う場所で目をさましていたように思う。 キャラバンパークやモーテルにもよく泊まったし、気温の差も肌で感じた日々だった。
それでも、イースター&スクールホリデーで街は混雑していた。 いつもは人通りの少ない家の近くの道路は大渋滞。ホテルも満室。何事かと思っていたら、「Blues&Roots Festival」が開催されていた。 4日間に渡って行われたこのフェスティバルは、なんでも、南半球最大のブルースフェスティバルらしく、有名なミュージシャンも多数参加している。 会場近くには、テントを張って待機している人々でいっぱいだ。 家から歩いて行ける場所だったので、1日券(A$85)を買って遊びに行ってみた。
だだっ広い敷地には、巨大なテントの仮設会場が4つ。 バーコーナーから、あらゆる食べ物の店が、フリーマーケットのように出店していた。 参加している人も、見るからにブルースフリーク(?)といった人や、毎年参加しているらしい椅子持参の用意周到組、 たまたまお祭り気分で参加した我々のような者まで様々。 日曜日ということもあってか、家族連れも多い。 それぞれ4つの会場では、スケジュールに沿って、同時進行で演奏が始まっていく。 各自、好きなミュージシャンを追って、会場を移動していく形式だ。 同じ時間に、観たいミュージシャンが重なってたりすると大変。 どのテントに行くか、目移りして結構忙しい。
我々のお目当ては、KEB 'MO'。 1時間前程から、会場内で場所取りしたおかげで、最高の場所で聴けた。 “世界で最もハッピーなブルースマン”と言われているKEB 'MO'は、 甘い声と、ブルースにしてはポジティブメッセージを歌う人。 さすがに彼は人気だったらしく、あっという間に、会場は足の踏み場もないくらいの人で 埋め尽くされていく。 午後晴れてさわやかだった天気は、次第に雨交じりになり、夜には土砂降りに変わった。 それでも、参加者はまったく動じない。聞くところによると、ブルースフェスティバルは、 毎年、雨と相場が決まっているらしい。そうと知っていたら、雨装備をしてくるんだった…。 雨と泥で、ドロドロになりながらも、人々の興奮はさめやらない。
かのジミー・ヘンドリックスやエリック・クラプトンが師匠と仰ぐ、ブルース界のレジェンドだ。 シカゴを基盤に活動する彼の曲は、“こてこて”のブルース! 曲が「Sweet Home Chicago」になると、会場中で大合唱が始まった。 テントの外は、バケツをひっくり返したような雨。 ライブは深夜まで続いた。 雨とブルースはよく似合う。 それは、どこか、“夏の終わり”を感じさせる。 4月1日で、サマータイムも終わった。 日中はまだしも、朝晩は、めっきり肌寒くなっている。 街を上半身裸で歩く人も見なくなったし、人々の服装も変わってきた。 海も冷たくなってきたし、急遽、スプリングを購入する始末。 いまさらながら気づいたけれど、ここは常夏ではなかったのだ。 こちらの住民曰く、「これからが、バイロンベイは最高さ。」という言葉を胸に、 初秋のバイロンベイを楽しんでみようと思う。 |