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Vol.35 『ライフスタイルの変か?』![]() 先週の引越しで幸せをかみしめたのもつかの間、 ある日、海から帰ってきたら、家は停電していた。 ということで、いきなりこんなことに…。
オーナー不在の為、手違いで電気代が支払われなかったのが原因らしい。 オーストラリアって大雑把なくせして、止める時は速攻で止めるのだそうだ。 結構容赦ない…。 しかたなく、ロウソクを買い込む。 初日こそ、「まぁ、こういう事もあるサ、たまにはいいねロウソクの世界も。」 などとのたまっていたのだが、事態は次第に大変なことに…。 翌朝、冷蔵庫の氷が溶けて流れ出していたらしく、台所は水浸し。 夕方には、とうとうお湯も出なくなり(ボイラーが止まってしまった。)パニック! 真夏なら水のシャワーでもよいのだが、バイロンベイの季節はすっかり秋。 寒くてとてもじゃないが、水だけじゃぁ風邪ひくことは間違いない。 しかたなく、近所のハンス宅にシャワーを借りにいくはめに。 せっかく、バスルームが2つもある家に引越したのに、まったくもって意味が無い。 電気をとおすには、その名義の本人からの連絡がないと出来ないとの事。 家のオーナーはバリ島に遊びに行っているらしく、メールを打ってもらって、 連絡を待っている状態であった。後は、メールをチェックしてもらうのを祈るしかない。 まるで雨乞いのごとく、“電気ごい”をする毎日。 この期に及んでなんだけど、やはり “エジソンは偉かった!”
いかに電気まみれの生活をしていたかを 身にしみて感じたのであった。 当然、PCは開けれないし、 すべてのバッテリーは充電出来ない。 冷蔵庫ないから食材も買い込めない。 洗濯したくても洗濯機は動かず、 掃除したくても掃除機は動かない。 まさに、万事休す。 夜になると、停電はその実力を、さらに発揮する。 6畳1間のアパートなら、ロウソク数本で事足りるかもしれないが、 ここは広い1件屋、何本あっても足りない。向こう1メートル四方はすべて暗闇である。 “素敵な電気無しの一軒家(?)”。 想像してみていただきたい。 暗闇の中、広いリビング&ダイニングに置いてあるクーラーボックスから、 やみくもに飲み物を取り出す姿・・・・・・かなり異様である。 「これじゃぁ、ひょっとして奥利根のキャンプと一緒?」 ライフスタイルが変化したのか“変か?”したのかよくわからない。 家に時計が無いので、時間はほとんど自然が頼りになった。 明るくなったら朝で、波があれば海行って、お腹が減ったら食事を摂る。 そんでもって暗くなったら夜。 もっとも最近日が落ちるのが早く、5時には真っ暗になってしまうので、 夕食を食べ終わったのが4:30だったりした! 夜はおよそ生産的なことは何も出来ないので早めに寝る。 日に日にシンプルになっていく日常生活、というか原始生活(?)。 停電3日目の夜。 いつになく外が明るい。 ドアを開け、庭に出ると、なんと満月だった。 雲ひとつ無い空に、巨大な満月がにポッカリ浮んでる。 あたりは異様に明るい。 家の中が真っ暗なので、逆に、外の明るさが際立っている。 ベランダにはまるで夏の終わりの日差しのように、月光が差し込んでいて、 庭の草花も光輝いている。不思議で美しい景色だった。 満月は、月に一回だけ、“神様が外に電気をつけてくれる日”。 そうだ。もともと電気なんか人間生活に無かったもんだし、停電もいいじゃないか、 普段見れないものを見れて…。 一瞬停電に感謝したいくらいの気分にさえなったのであった。 しかし、その3分後、その考えは木っ端微塵に吹き飛ぶことになる。 もう、絶対写真撮ろう!とデジカメを取り出し、撮ろうと思った正にその瞬間、 「ウィ〜ン…。」と謎の音を出し、カメラの画像が消えた! そう… “バッテリー”が切れたのである!! そういうわけで、今回は写真が撮れず。 前言撤回! やはり、電気は大事だった。 (後日談) 満月の後、毎日雨が続き、あまりの寒さにメゲ気味。 日中晴れたらTシャツで過ごせるけれど、夜はフリースに靴下必須! 停電事件から約1週間後、祈りが通じたのか(?)オーナーがメールを見てくれて、 無事、電気開通となった。祝 電気開通!! 我々が小躍りしたのは言うまでもない。 今はなんとストーブを焚いている。外は雨混じりの風がビュービュー。 海に行くにも勇気がいる。我々が軟弱なのか、それとも寒すぎるのか? きっと両方だろう。 「うちらエンドレスサマーじゃなかったんだっけ…?」 どちらともなく、つぶやく。 そろそろ移動の時期が来たみたいだ。 こちらにワーキングホリデーで来ているエリにもらったサーフィン雑誌。 久しぶりに、パラパラとページをめくっていたら、「・・・・・・・?」
後姿だけれど、ここに写っているのはまぎれもなく我々ではないかっ。 懐かしい。やっぱり常夏っていいなぁ・・・・・。 次は再び常夏のハワイ諸島へ向かう予定である。 |