Vol.35 『ライフスタイルの変か?』
  2002年5月3日

先週の引越しで幸せをかみしめたのもつかの間、
ある日、海から帰ってきたら、家は停電していた。
ということで、いきなりこんなことに…。
ロウソク
ツナ缶にロウソク。

停電
明かりって大切なんだね…。

オーナー不在の為、手違いで電気代が支払われなかったのが原因らしい。
オーストラリアって大雑把なくせして、止める時は速攻で止めるのだそうだ。
結構容赦ない…。
しかたなく、ロウソクを買い込む。
初日こそ、「まぁ、こういう事もあるサ、たまにはいいねロウソクの世界も。」
などとのたまっていたのだが、事態は次第に大変なことに…。

翌朝、冷蔵庫の氷が溶けて流れ出していたらしく、台所は水浸し。
夕方には、とうとうお湯も出なくなり(ボイラーが止まってしまった。)パニック!
真夏なら水のシャワーでもよいのだが、バイロンベイの季節はすっかり秋。
寒くてとてもじゃないが、水だけじゃぁ風邪ひくことは間違いない。
しかたなく、近所のハンス宅にシャワーを借りにいくはめに。
せっかく、バスルームが2つもある家に引越したのに、まったくもって意味が無い。

電気をとおすには、その名義の本人からの連絡がないと出来ないとの事。
家のオーナーはバリ島に遊びに行っているらしく、メールを打ってもらって、
連絡を待っている状態であった。後は、メールをチェックしてもらうのを祈るしかない。
まるで雨乞いのごとく、“電気ごい”をする毎日。

この期に及んでなんだけど、やはり “エジソンは偉かった!”
停電
毎日こんな感じ。

失って初めてわかる大切さ。
いかに電気まみれの生活をしていたかを
身にしみて感じたのであった。
当然、PCは開けれないし、
すべてのバッテリーは充電出来ない。
冷蔵庫ないから食材も買い込めない。
洗濯したくても洗濯機は動かず、
掃除したくても掃除機は動かない。
まさに、万事休す。

夜になると、停電はその実力を、さらに発揮する。
6畳1間のアパートなら、ロウソク数本で事足りるかもしれないが、
ここは広い1件屋、何本あっても足りない。向こう1メートル四方はすべて暗闇である。

“素敵な電気無しの一軒家(?)”。

想像してみていただきたい。
暗闇の中、広いリビング&ダイニングに置いてあるクーラーボックスから、
やみくもに飲み物を取り出す姿・・・・・・かなり異様である。
「これじゃぁ、ひょっとして奥利根のキャンプと一緒?」
ライフスタイルが変化したのか“変か?”したのかよくわからない。

家に時計が無いので、時間はほとんど自然が頼りになった。
明るくなったら朝で、波があれば海行って、お腹が減ったら食事を摂る。
そんでもって暗くなったら夜。
もっとも最近日が落ちるのが早く、5時には真っ暗になってしまうので、
夕食を食べ終わったのが4:30だったりした!
夜はおよそ生産的なことは何も出来ないので早めに寝る。
日に日にシンプルになっていく日常生活、というか原始生活(?)。

停電3日目の夜。
いつになく外が明るい。
ドアを開け、庭に出ると、なんと満月だった。
雲ひとつ無い空に、巨大な満月がにポッカリ浮んでる。
あたりは異様に明るい。
家の中が真っ暗なので、逆に、外の明るさが際立っている。
ベランダにはまるで夏の終わりの日差しのように、月光が差し込んでいて、
庭の草花も光輝いている。不思議で美しい景色だった。

満月は、月に一回だけ、“神様が外に電気をつけてくれる日”。

そうだ。もともと電気なんか人間生活に無かったもんだし、停電もいいじゃないか、
普段見れないものを見れて…。
一瞬停電に感謝したいくらいの気分にさえなったのであった。

しかし、その3分後、その考えは木っ端微塵に吹き飛ぶことになる。
もう、絶対写真撮ろう!とデジカメを取り出し、撮ろうと思った正にその瞬間、
「ウィ〜ン…。」と謎の音を出し、カメラの画像が消えた!
そう… “バッテリー”が切れたのである!!

そういうわけで、今回は写真が撮れず。
前言撤回!
やはり、電気は大事だった。

*      *      *      *      *

(後日談)
満月の後、毎日雨が続き、あまりの寒さにメゲ気味。
日中晴れたらTシャツで過ごせるけれど、夜はフリースに靴下必須!
停電事件から約1週間後、祈りが通じたのか(?)オーナーがメールを見てくれて、
無事、電気開通となった。祝 電気開通!!
我々が小躍りしたのは言うまでもない。

今はなんとストーブを焚いている。外は雨混じりの風がビュービュー。
海に行くにも勇気がいる。我々が軟弱なのか、それとも寒すぎるのか?
きっと両方だろう。
「うちらエンドレスサマーじゃなかったんだっけ…?」
どちらともなく、つぶやく。
そろそろ移動の時期が来たみたいだ。

こちらにワーキングホリデーで来ているエリにもらったサーフィン雑誌。
久しぶりに、パラパラとページをめくっていたら、「・・・・・・・?」
サーフィンライフ
パイプライン特集のやつ。
懐かしい…。

記事
白地にピンクロゴのTシャツは私。
赤いリユックしょってんのがアキヤン。

後姿だけれど、ここに写っているのはまぎれもなく我々ではないかっ。
懐かしい。やっぱり常夏っていいなぁ・・・・・。

次は再び常夏のハワイ諸島へ向かう予定である。

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