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Vol.39 『カマアイナ大作戦』![]() MAUI TIMEにすっかり身を任せていたら、あっという間に月日が流れ、 気づいたら6月になっていた。気分は浦島太郎である。 曜日の感覚は、とっくに無くなっていたが、ここに来て月の感覚もおぼつかない有様。 旅に出て以来、時計もしていないので無理もないか…? 連日のサーフィンで、毎夜べッドまで辿り着けず、ソファーや床で撃沈していた我々。 そんなことでいいのかっ! 何か他にやる事ないのかっ?! とお思いの方もいるだろう。 そう … やる事はあるのだ。今回マウイに来て、唯一、やってる建設的(?)なこと。 それは、車の免許の取得、別名「カマアイナ大作戦」! “カマアイナ”とは、ハワイに住む地元民の事。 以前、マウイに来た時、AYA&TAKAから、 「カマアイナになっといた方がいいですよ。」と聞いていたのだ。 ハワイ内だと、飛行機はおろか、宿泊・レンタカー・レストランに至るまで、 カマアイナ割引というのがあって、なにかと割引になるらしい。 カマアイナであるか否かの証明は、ほとんどハワイ州の車の免許証で行われる。 「これさえ見せて、“Hey!カマアイナ・ブラ!”でOKでしょう。」 「いいねいいね〜。よし、いっちょカマアイナにでもなるか?」 と、異常に安易な理由で、“カマアイナへの道”は始まったのである。 (注)ハワイで免許を取るには、ソーシャル・セキュリティー・ナンバーが必要。幸か不幸か、ソーシャル・セキュリティ・ナンバーを取っていたのはアキヤンのみだったので、 必然的に奴がチャレンジすることになった。 「マウイなんか田舎だし、簡単でしょ。」 と、妙になめきった態度に不安を感じる。 大丈夫かぁ…??? 免許取得には、学科試験と、ロードテストの2つに合格することが必要だ。 日本と同じで、まず学科試験に受かったら、次は実地試験。 前回のマウイ滞在中。気軽に受けた学科試験で、同じく気軽に落ちたアキヤン(笑)。 まぁ、全然勉強もしないでいったから当たり前なのだけど。 受けた後にわかったのは、学科試験は週に1回しか受けられないという事実であった。 当時フィジーに6日後に行く予定だったので、あえなく時間切れ。次回の宿題となっていた。 そうして、引き続きの「カマアイナ大作戦」なのである。
とある日の早朝。ワイルクにある「Maui Bake Shop」にて。 “やはり、舐めたらいけない。”と、心機一転。オアフで購入していた「運転免許問題集」なるものを、 読みふけるアキヤン。今日は学科試験を受ける日なのだ。 いつになく、予習に余念がない。( … よしよし。)
運転免許試験場は、ここからほど近い所にある。
久しぶりの“試験”というものに、少々緊張気味。 考えてみたら、大人になって以来、“試験”なるものからは程遠い生活を送っている。 サラリーマンだったら、「昇級試験」とか、「資格」だとか、そんなこともあろうが、 奴には無縁の話。 緊張するのも無理はない。 待つこと一時間。 なんだか、受験生の子供を持つ母親の気分だ。 結果はその場で教えてくれるらしい。果たして、その結果はいかに?!
このIDがあれば、一応カマアイナ割引が利くらしい。 まずは、一安心。 あとはロードテストに受かるのみとなった。 「運転は20年以上してるから、楽勝でしょう。」 と、これまた根拠のない自信のアキヤン。 この時点では、“カマアイナ”に大きく一歩 近づいたかに見えたのだが・・・。 勢いに乗った奴は、翌日ロードテストを受けることにする。 もらった用紙には、早朝7:45以降にTELしてアポイントを取るようにと指摘してあるが、 実際はほとんど繋がらない。現地に7:30頃出向いた方が堅いと教えてもらい、 早朝予約に出向く。すでに何名もの人が待っていたが、なんとか午後一の予約が取れた。 試験まで随分時間が空いている。しょうがないので、雑務を片付けたり街をブラブラして、 落ちつかないまま、時間をなんとかつぶすことに…。 ようやく時間が来たので、試験場に出向くと、 「あなたのテストはもう終わりました。」 と言われてビックリ。 「えっ???予約は1時半ですよね?」 「予約は1時。15分前に来てくれと言ったでしょ!また来週来て下さい。」 「・・・・(ガーーン!)・・・・。」 そう。時間を間違えていたのである。間抜け・・・。 一回落ちたら、次は来週また同じく朝から来るしかない。 落ち込むアキヤン。あまりの情けなさぶりに、かける言葉も見つからない。あ〜あ。 早起きして気合入れてた分、かなり凹んでいる様子。 それでも、なんとか、 「もぉ〜こうなったら来週は朝一に行ってやる!」 と気分を奮い立たせたのであった。 そうして迎えた今週。 朝一に試験場に行くと、すでに女の子が一人待っていた。 彼女は3回目のロードテストだと言う。“ん??3回目?簡単なはずでは…?” 一抹の不安が頭をよぎる。“やさしい教官だったらいいな?”と祈るしかない。 2番目の予約だったので、8:30AMからのスタート。 さすがに今回はどこにも出なかった。じっと待機。 時間に受付に行くと、メガネをかけた女性がいる。なんだか冷たそうな人だ。 英語が不安なアキヤンが、もしもの時、私に通訳させてもよいか?と訪ねたら、 「NO!あなた理解できるわ。そう、勿論出来ますとも!」 と、剣もホロロに断られた。 “ムッ、そんな言い方しなくったって…。” オールドミス風のその女性は、一通りの資料をジロリと見回したかと、 「それでは、行きましょう。」 とおもむろに立ち上がった。 “え〜っ、まさかあなたが教官?!” 連れ去られるアキヤンの後姿は・・・・・重かった。
一般道を走るのではなく、空き地のような所でテストしたらしい。 いくつかの細かいチェック項目があり、減点式で−30点までが合格。 車を降りたアキヤンの顔は、なんとも言えない顔だった。 結果は、−70点!! …凄い。かすってもいない…(笑)。 「いやぁ〜凄いよ、ダブルスコアーだもん。」 とアキヤン。 先程からの、なんともいえない表情の謎がとけた。 人間、あまりにも想像を越えてダメだと、悔しさを通り越した悟りの境地とでもいえる 不思議なさっぱりとした表情になるんだなぁ… な〜んて感心してる場合じゃない! 一体どうすんだぁ???もう、時間ないぞ〜!
暮れゆく太陽は、まるで、 手が届きそうなくらい近く感じる。 太陽は近い。 しかし、“カマアイナの道”は遠い。 宿題を残しつつも、明日から我々は カウアイ島に移動する。 新しい世界に出会う為に…。 MAHALO ! |