Vol.39 『カマアイナ大作戦』
  2002年6月11日

MAUI TIMEにすっかり身を任せていたら、あっという間に月日が流れ、
気づいたら6月になっていた。気分は浦島太郎である。

曜日の感覚は、とっくに無くなっていたが、ここに来て月の感覚もおぼつかない有様。
旅に出て以来、時計もしていないので無理もないか…?

連日のサーフィンで、毎夜べッドまで辿り着けず、ソファーや床で撃沈していた我々。
そんなことでいいのかっ! 何か他にやる事ないのかっ?! とお思いの方もいるだろう。
そう … やる事はあるのだ。今回マウイに来て、唯一、やってる建設的(?)なこと。

それは、車の免許の取得、別名「カマアイナ大作戦」

“カマアイナ”とは、ハワイに住む地元民の事。
以前、マウイに来た時、AYA&TAKAから、
「カマアイナになっといた方がいいですよ。」と聞いていたのだ。
ハワイ内だと、飛行機はおろか、宿泊・レンタカー・レストランに至るまで、
カマアイナ割引というのがあって、なにかと割引になるらしい。
カマアイナであるか否かの証明は、ほとんどハワイ州の車の免許証で行われる。
「これさえ見せて、“Hey!カマアイナ・ブラ!”でOKでしょう。」
「いいねいいね〜。よし、いっちょカマアイナにでもなるか?」
と、異常に安易な理由で、“カマアイナへの道”は始まったのである。
(注)ハワイで免許を取るには、ソーシャル・セキュリティー・ナンバーが必要。
   残念ながら、現在それを取るのは非常に困難。現に、私は無理だった。
幸か不幸か、ソーシャル・セキュリティ・ナンバーを取っていたのはアキヤンのみだったので、
必然的に奴がチャレンジすることになった。
「マウイなんか田舎だし、簡単でしょ。」 と、妙になめきった態度に不安を感じる。
大丈夫かぁ…???

免許取得には、学科試験と、ロードテストの2つに合格することが必要だ。
日本と同じで、まず学科試験に受かったら、次は実地試験。
前回のマウイ滞在中。気軽に受けた学科試験で、同じく気軽に落ちたアキヤン(笑)。
まぁ、全然勉強もしないでいったから当たり前なのだけど。
受けた後にわかったのは、学科試験は週に1回しか受けられないという事実であった。
当時フィジーに6日後に行く予定だったので、あえなく時間切れ。次回の宿題となっていた。
そうして、引き続きの「カマアイナ大作戦」なのである。
お店で
一心不乱に読んでいるのは…??
問題集
試験問題集だ!

とある日の早朝。ワイルクにある「Maui Bake Shop」にて。
“やはり、舐めたらいけない。”と、心機一転。オアフで購入していた「運転免許問題集」なるものを、
読みふけるアキヤン。今日は学科試験を受ける日なのだ。
いつになく、予習に余念がない。( … よしよし。)
ベーカリー
『Maui Bake Shop』。
フレンチトースト
お勧めは“フレンチトースト”。
ほとんど卵焼き?といった
形状だが、本当においしい!
腹ごしらえも済んだことだし、さて行くか…。
運転免許試験場は、ここからほど近い所にある。

ベーカリー
「それでは、今から試験に行ってきます!」

フレンチトースト
この奥に簡単な教室があって、
そこで学科試験を受ける。

久しぶりの“試験”というものに、少々緊張気味。
考えてみたら、大人になって以来、“試験”なるものからは程遠い生活を送っている。
サラリーマンだったら、「昇級試験」とか、「資格」だとか、そんなこともあろうが、
奴には無縁の話。 緊張するのも無理はない。

待つこと一時間。
なんだか、受験生の子供を持つ母親の気分だ。
結果はその場で教えてくれるらしい。果たして、その結果はいかに?!
仮免許
仮免のようなものか?
しかし、この写真怪しい…。
一夜づけの甲斐あって、無事学科合格!!
このIDがあれば、一応カマアイナ割引が利くらしい。
まずは、一安心。
あとはロードテストに受かるのみとなった。
「運転は20年以上してるから、楽勝でしょう。」
と、これまた根拠のない自信のアキヤン。
この時点では、“カマアイナ”に大きく一歩
近づいたかに見えたのだが・・・。

勢いに乗った奴は、翌日ロードテストを受けることにする。
もらった用紙には、早朝7:45以降にTELしてアポイントを取るようにと指摘してあるが、
実際はほとんど繋がらない。現地に7:30頃出向いた方が堅いと教えてもらい、
早朝予約に出向く。すでに何名もの人が待っていたが、なんとか午後一の予約が取れた。

試験まで随分時間が空いている。しょうがないので、雑務を片付けたり街をブラブラして、
落ちつかないまま、時間をなんとかつぶすことに…。
ようやく時間が来たので、試験場に出向くと、
「あなたのテストはもう終わりました。」 と言われてビックリ。
「えっ???予約は1時半ですよね?」
「予約は1時。15分前に来てくれと言ったでしょ!また来週来て下さい。」
「・・・・(ガーーン!)・・・・。」


そう。時間を間違えていたのである。間抜け・・・。
一回落ちたら、次は来週また同じく朝から来るしかない。
落ち込むアキヤン。あまりの情けなさぶりに、かける言葉も見つからない。あ〜あ。
早起きして気合入れてた分、かなり凹んでいる様子。
それでも、なんとか、
「もぉ〜こうなったら来週は朝一に行ってやる!」 と気分を奮い立たせたのであった。

そうして迎えた今週。
朝一に試験場に行くと、すでに女の子が一人待っていた。
彼女は3回目のロードテストだと言う。“ん??3回目?簡単なはずでは…?”
一抹の不安が頭をよぎる。“やさしい教官だったらいいな?”と祈るしかない。
2番目の予約だったので、8:30AMからのスタート。
さすがに今回はどこにも出なかった。じっと待機。

時間に受付に行くと、メガネをかけた女性がいる。なんだか冷たそうな人だ。
英語が不安なアキヤンが、もしもの時、私に通訳させてもよいか?と訪ねたら、
「NO!あなた理解できるわ。そう、勿論出来ますとも!」 と、剣もホロロに断られた。
“ムッ、そんな言い方しなくったって…。”
オールドミス風のその女性は、一通りの資料をジロリと見回したかと、
「それでは、行きましょう。」 とおもむろに立ち上がった。
“え〜っ、まさかあなたが教官?!”
連れ去られるアキヤンの後姿は・・・・・重かった。

教官
この赤い車(AYAに借りたやつ)で、
ロードテスト。右の女性が教官。
答案用紙
テストの結果。
ロードテストは15分程で終わった。
一般道を走るのではなく、空き地のような所でテストしたらしい。
いくつかの細かいチェック項目があり、減点式で−30点までが合格。

車を降りたアキヤンの顔は、なんとも言えない顔だった。
結果は、−70点!! …凄い。かすってもいない…(笑)。
「いやぁ〜凄いよ、ダブルスコアーだもん。」 とアキヤン。
先程からの、なんともいえない表情の謎がとけた。
人間、あまりにも想像を越えてダメだと、悔しさを通り越した悟りの境地とでもいえる
不思議なさっぱりとした表情になるんだなぁ… な〜んて感心してる場合じゃない!
一体どうすんだぁ???もう、時間ないぞ〜!

夕日
夕焼け。
赤く染まる夕焼け。
暮れゆく太陽は、まるで、
手が届きそうなくらい近く感じる。

太陽は近い。
しかし、“カマアイナの道”は遠い。


宿題を残しつつも、明日から我々は
カウアイ島に移動する。
新しい世界に出会う為に…。
MAHALO !

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