Vol.48 『CABOの日常』
  2002年8月6日

メキシコに長く滞在している人は皆、「ロス・カボスはメキシコではない。」と言う。
砂漠とサボテンの赤茶けた風景が広がる最果ての土地であったロス・カボスは、
開発が始まって、わずか30年あまりの歴史しかないリゾートなのだ。
他の歴史あるメキシコの町に比べると、確かにそれも事実なのだろう。

それでも、メキシコの各地から集まった人々と、観光客とで混在しているこの地区には、
地元民と出稼ぎのメキシコ人、観光客&観光業にまつわる人々など、
およそ7万人もの人間が住んでいて、一つの不思議な空間をかもしだしている。

カボ・サン・ルーカスの町に行けば英語は通じるが、一歩、地元民のローカルな生活に足を
踏み入れるとやはりスペイン語しか通じない。こちらに来て、日本人観光客もほとんど見かけない。
長く住んでいる日本人の数も、全員顔見知りになれるくらいの人数らしい。
海に入っていても、度々「どこから来たの?」と聞かれる。
日本人の顔にもあまり見覚えがないのかもしれない。(単に我々が日本人離れした“黒さ”に
なっているだけなのかもしれないので、その点は定かではない。)

さて、CABOに到着して3週間あまりが過ぎた。
日差しの暑さには相変わらずだが、それでも木陰はひんやりと涼しいことにも気づいてきたし、
地理も少しずつ把握してきた。周りの景色も見慣れてきて、毎日落ち着いた生活が送れている。
ペリカン
海にはペリカンの群れが…。
プール
ビーチ沿いにあるコンドミニアム。
海から上がったら、プールにドボン!

当初冷たかった海水も、見る間に温かくなり、水着で入れるくらいだ。
とはいうものの、日差しが恐ろしいのでラッシュガードはかかせない。
コンドミニアムの目の前がポイントなので、朝起きて、そのままバルコニーから波チェック。
人が減った時を見計らって海に入る。人が増えたら(増えても6〜9人。)一旦上がって、
また減ったら入る。まっこと“オン・ザ・ビーチ”は素晴らしい!

メキシコ料理もなかなかイケルのだが、毎日食べろ!と言われたら、ちと辛い。
今の時期一番波のあるポイントも目の前だし、動く必要性も薄い。
ということで、必然的に自炊の生活を送っている。

最寄の街サン・ホセ・デル・カボは、スパニッシュコロニアルな建物が多く、
リゾートに勤めるスタッフが多くここに住んでいるので、よりローカルな空気が漂う街で、
結構気に入っている。食材や日用品の買出しもほとんどこの街で済んでしまう。
スーパー
近所のスーパー。
中の電気が暗い。
スーパー
品揃えは豊富。
外来物は高いが、
メキシコ製品は安め。
なかでもよく行くのは地元のスーパー。
なぜかいつも照明が暗い。やっているのかどうか毎回不安になるほどだ。
入るとすぐに、カビ臭い匂いが鼻につく。でも、すぐに慣れる。
中は以外に広く、品揃えは豊富だが、やる気はあまり感じられない。
それでも、生活用品はひと通りここでなんとかなるので重宝している。
スーパーの男の子
働く少年。

レジには必ず子供がいて、
(レジ打ちの女性の子供と思われる)
地元民でないと判断するや、
会計の終わった製品を袋に入れ、
そしてそれを外の車まで運んでくれる。
当然、チップをあげるのだが、
こんな小さな頃から家計を支えている
のは本当に偉いと思う。
八百屋
国道沿いにある「八百屋」。
もの凄く安い!
ここでも子供が働いている。

サボテン
「ウチワサボテン」
茹でて食べる。
茎わかめの様な味でイケる。
メキシコは貧富の差が激しい。学校に行けない子も珍しくない。
このスーパーに限らず、子供が親の手伝いをしてる姿は日常的な風景だ。
日本ではめったに見ることの無くなった世界。
貧しさからの必然性とはいえ、生活共同体の1員として一生懸命働く子供達の姿に感動する。
それにしても、その親子達がとても仲が良く、幸せそうに見えるのは私だけか…?

ほとんどの用事がサン・ホセ・デル・カボで済む為に、カボ・サン・ルーカスの街に出ることは
唯一、インターネットを使う時だけになってしまった。
そう!カボ・サン・ルーカスには日本語が打てる“インターネットカフェ”が1件あるのである。
これでメールチェックは問題なし。

実は、我々のコンドミニアムには電話線自体がない。(まだ電話線が来ていないとのこと)
国際電話も、テレフォンカードを買って公衆電話でかけるのが一番安い。
でも、公衆電話自体が壊れているものも多く、カードだけがむなしくカウントされ、
無効になることもしばしば…。街角で国際電話をかける姿はにわかに怪しい。

インターネット屋
「CABO MAIL」。
オーナーは日本人の今坂さん。
公衆電話
街の公衆電話。
只今、日本のさぶちゃんに
国際電話中。
メール・チェックが日本語で出来てホッとしたのもつかの間、
我々が持参しているPCの接続自体は出来ないとのこと。
このHP用のMAILはすべて、今まで本体を直接接続して送っていたのだ…。
ガーーーン。さて、どうしたものか?いろいろあたってみるが、どこも受け付けてくれない。
まったくもって、途方に暮れたのであった。

それでは、どうしてこのHPにMAILが送れるようになって、
「和」
日本料理店 『和 Kaz』。
新鮮なお寿司が食べれるよ。
オーナーの「和さん」は最高!
今あなたが読んでるかというと、それは
この人との出会いがあったからです!!

CABO在住5年になる和さん
本格的な日本料理が食べれる店、
その名も 『和 Kaz』 の経営者。
ほとほと困り果てた我々に、
「そんじゃぁ、うちの回線使っていいよ!」
と快く言ってくれるではないかっ!
しかも、現地プロバイダーのアカウントまで
貸してもらうことに…。
もう、ウルトラ親切な人である。

それ以来遠慮もなく、PCを繋がせに行かせてもらっているのだ。
ということで、今後メキシコからのHPのMAILは、すべてここから送っている。
和さん、本当にありがとう!!
サボテンの実
「サボテンの実」

ある日、例のごとく、PC接続で
訪れた我々に、和さんが、
「サボテンの実」を食べさせてくれた。
種が多いので少々食べずらいが、
甘くて素朴なおいしさだ。
砂漠に生えてるくせに、
とってもジューシー。

帰り道、あちこちに生えてるサボテンを眺めつつ、
「この歳になって、サボテンを食べるとは思わなかったねぇ…。」 などと
しゃべりながら、ここは確かにメキシコだと感じたのだった。

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