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Vol.50 『ローカリズム』![]() 旅をしていると、いろんな場所や人々に触れる。 その中には、外から来る人に対して親切でオープンな土地柄の所と、勿論そうでない所がある。 当然ながら、それはその国の経済状態や過去の歴史と関係ある場合が多い。 もし自分が生まれ育った所が、ある日、観光地として発展していったとしたらどうだろう? 日常の風景に突然入ってくるツーリスト。1人目は珍しく、10人目になれば目立ち、 100人になったら慣れてきて、1000人になったらそれらを相手に商売を始める者が出てきて、 10000人になったら政府ぐるみで商売を始めかねない。 世界中から来るツーリスト。 ある人はヒッピーで、ある人はサーファーで、そしてまたある人はビジネスマンで…。 こうなったら、どうやら最初に集まる人種のイメージが大事な要素になりそうだ。 ヒッピーやサーファーはまだ持ち物が少なそうだけれど、ビジネスマンになると、 先進国の考え方とか経済システムとかも持ち込んでくるだろう。 自分の日常の風景に、想像以上の“日常的ではない人や物”が視界に入り出した時、 もし自分だったら、それを受け入れて吸収していくのだろうか?それとも遮断していくのだろうか? うまく想像できないけれど、もし、地元の空気やリズム、自然を愛していたならば、 あきらかに日常のリズムをぶち壊すくらい多くの人や物は、不快以外のなにものでもないだろう。 特に、外部からの侵入者の方が経済力に長けてる場合が多いので、 地元民なら、卑屈になるか、順応していくか、「なんだと〜ここは俺達の土地だっ!」と開き直るか、 それとも、受け入れながら大事な物を守るという最も難しい道を歩くか…etc。選択はそう多くない。 「ZIPPER'S(ジッパーズ)」はいい波だ。
ローカルがホットなポイントだからだ。 ということで、 朝一の空いてる時をねらって、 「ジッパーズ」に入る為、アキヤンは もっぱら早起きが日課になっている。 それでも、人がいなかったためしがない。 白々と夜が明ける頃から、 日が暮れるまで、たえず人が入ってる。 それだけいい波だということだろう。
コスタ・アズールにあるレストラン「Zipper's」の前にある為、それがそのままポイント名になっている。 ボトムはロックで、ボール状に波が入ってくるパワフルなライトブレイク。 隣の「オールドマンズ」 「ロックス」が、外国人やビジターに開放されているのと裏腹に、 この「ジッパーズ」だけは、“よそ者には絶対譲れない”空気が漂っている。 知らずに入った外国人が、強面のローカルにパンチアウトされたりすることも珍しくないらしい。 まぁ、気持ちもわからないではない。 ここはローカルをリスペクトして、ビジターは他のポイントに行った方がいいだろう。
コンドミニアムがオン・ザ・ビーチにある為、波が上がってくると、夜中に波の爆音が響く。 そんな時は決まって、翌日いい波が立っている。 ハリケーンが来るとの噂が流れたある日、スウェルが入った。 隣の2つのポイント「オールドマンズ」 「ロックス」から「ジッパーズ」に至るまで、 全部波が繋がっている! この日のビーチにはプロのカメラマンが登場し、 日が暮れるまで、ハイパフォーマンスが繰り広げられていた。 皆、本当にウマイよ!! もう、見てるだけでも楽しい。
そんな「ジッパーズ」も、波が無い時がある。 そういう日はローカルズは何をしているかというと・・・・。 ・・・・・やはり、ビーチにいるのである。釣りしたり、
海の上で波待ちしていると、水面下に魚の集団が通り過ぎたりするのをよく見る。 小魚なんだろうけど、結構デカイ。 そう、ここロス・カボスは釣りで有名な場所なのである。特に大物が釣れることで有名らしい。 世界的なフィッシング・トーナメントもよく行われている。牡蠣も一年中採れるとの事。 波がない日は、海にプカ〜りと黒いタイヤが浮いている。 この黒いタイヤに捕まって“牡蠣採り漁”をするのだ。 だから、海をみて波チェックをする際、黒いタイヤが浮いてる時は波はイマイチというわけ。
豊かな海の幸に恵まれた彼らの生活。 波があれば一日中サーフィンしている。 そして、いつも仲間が一緒だ。 海の上は平等だ。ここには貧富の差も、家柄や学歴や職業など、陸の上の常識は通じない。 あるとしたら、楽しんでるかどうか? 又は、リスペクトしてるかどうか? というシンプルなもの。 こういう風景の中にいると、本当の豊かさとはなんだろう? と、ふと考えてしまう。 変わりゆくロス・カボスのなかで、こんな場所があると、ちょっとホッとする。 10年後、またはもっと先に、またこの地に訪れた時にも、 ローカルズ達がまだまだ元気で、暴れていてくれたらいいなと思う。 |