Vol.62 『Witch's Rock&Ollies Point』 2002年11月1日 さて、どこから話を始めたらいいのだろう…? 生まれて初めて海で遭難したことか? それとも極上の波を発見したことか?? タマリンドにあまりにも波が無く、たまりかねた我々は、ついに最後の切り札である 「Witch's Rock(ウィッチーズロック)」と「Ollie's Point(オーリーズ・ポイント)」に 出かけることにした。ここは映画エンドレス・サマーでも紹介された有名なポインで、 クオリティーの高い波で知られている。 これらのポイントへはボートで行くのが普通だ。 なぜならオーリーズ・ポイントに行く陸路は無く、アクセスは海からのみ可能だし、 ウィッチーズロックも国立公園内にあり、陸路で辿り着くのはかなり難しい。 タイドもオーリーズはロー・タイドが良く、ウィッチーズロックはハイ・タイドが良い。 通常これら2つのポイントをセットにして、1日で両方楽しむというツアーがほとんだ。 ボートはPlaya del Cocoから出発することが多いが、タマリンドからもツアーが出ている。 ただし、“4人以上でボートを出す”といった類のツアーが多く、人数がうまく集まらなと ツアー自体が成り立たないので、海で見知らぬサーファーから「オーリーズ行かないか?」 と誘われることも多い。 そういう風にしてクリスとも出会ったのだ。 カルフォルニアからバケーションで遊びに来ているクリスは、パッと見悪そうに見が、 根は真面目ないい奴。海で出会って顔見知りになり、 その後Playa Flamingoで偶然再会して意気投合。 どうしてもオーリーズ&ウィッチーズロックに行きたいらしく、 我々に一緒に行かないかと誘ってきた。勿論断る手はない。 早速、互いにお得なツアーを探して連絡を取り合うことで話がついたのだが…。 数時間後に電話すると、もうすでに頼んでしまったとのこと。 700US$もする高いボートだ。「う〜ん…。」我々がしばし考えていると、 クリスは、「大丈夫。他にも沢山誘ったから、君達は最高だし、タダでいいからおいでよ。」 と言うではないか!!「えーっ、それは悪いから払うよ。」と言う我々をさえぎって、 「とにかく、明日の朝5:45分にPlaya Flamingoの港で待ってるよ。」と言ってくれた。 なんていい奴なんだろう…。こうしてクリスの好意でタダで参加することになったのであった。
想像以上に素晴らしいボートが待っていた。 参加者は我々を含めて10名。 その他ボートの乗組員が4名だ。 ボート内で朝食をとりながらなごやかに 話ははずむ。皆、期待でワクワクだ。 この日は午前中がロー・タイドの為、 まずはオーリーズ・ポイントに向かう。 “コスタリカ最高のライト”と 呼び名が高いポイントだ。 最初到着した時は、波が小さく見えて 一瞬ガッカリしたのだが、海に入ってしばらくすると、 沖から、かって見たことのないキレイなスウェルがドンドン入ってくる! サイズはオーバー・ヘッドよりやや大きめで、バリバリのオフショア。 まずは、1本目にアキヤンが行く。波の形が凄くキレイだ。 最初にテイク・オフする所に岩がある他は、ボトムはサンドビーチ。 インサイドに乗るにつれセミ・ホローになっていくマシーン・ウェイブ!! パドルで沖に戻ってきたアキヤンの顔は… 溶けていた。 「ここの波… 最高だぁ!!」
10人のうちロングボーダーは我々とシェリー(中年のドレッドのおばさん。結構乗る。)の 3人だけ。セットの数は十分。インサイドにはショート・ボードのセクションがある。 つまり… 我々3人、沖から余裕で乗り放題ということなのだ!! なかでもアキヤンは、“一番デカいセットは全部自分のもの”とばかりに、乗りまくっていた! 私も普段だったらサイズが大きいとビビッてしまうのだが、なんせ、 『キレイに崩れる波&人がいない&ボトムがサンド&かぶらず沖に出れる…』と これだけ条件がそろったら行くしかないでしょう! テイクオフもイージーだし、小さめのセットを選びつつ大いにエンジョイしたのだった。 思う存分乗った後は、しばし放心状態…。 まさに、人生最高の波!! コスタリカ到着以来、いい波に当たらず溜まりに溜まったストレスが、すべて忘れらる くらいの最高の波だった。「コスタリカに来てよかった…。」 思わず、口に出る。 午後になると風が出て、波のサイズは落ちてきたものの、まだまだ狂乱の波乗りは 続いていた。お腹がすいたら船に上がってお昼を食べ、また気が向いたら海に入る。 アキヤンはすっかり午前中の波乗りに満足したらしく船の上でまどろんでいる。 不思議なことに、タイドが変わっても、ウィッチーズロックに動く気配がない。 おかしいな?とは思ったのだが、皆、オーリーズの波に感動していたので、 それはそれでよいか… と、思う存分、波乗りを楽しんだのであった。 明らかにおかしい? と感じてきたのは、サンセットの頃だ。 ボートの乗組員が「エンジンの調子がおかしい。」と言い始め、次第に慌てた物腰に…。 どうやらバッテリーが壊れたらしい。この辺りは国立公園で、陸地に建物など無いし、 日が暮れたら辺りは真っ暗になっていく。「無線で最寄の船に新しいバッテリーを 頼んだからそれが来るまで待つしかない。」と言われ、そのまま待機するはめになる。
船に余分な食料は積まれておらず、 皆、お腹がすいて困った。 たまりかねて釣りを始めると、 おもむろにハンマーシャークの 赤ちゃんが釣れたりして…。 いくらなんでもこれは食べれない。 体も思いっきり使ったので、 眠いし、お腹は空くしで大変だ。 夜9:00頃になって、ようやく遠くに 1隻の船の灯りが近づいてきた。 「バッテリーが届いた。これで帰れる。」と一同喜ぶ。 気を持ち直して待つこと1時間。ところが一向に出発する気配がない。 そのうち「バッテリーの形が違う」という声が聞こえる。(早く気づけよ〜!) “これで夕飯はもう無理だな…。”と悲しく悟ったのであった。 バタバタと動きまわる乗組員の横で、疲れと空腹で次第に無言になっていくメンバー。 ましてや“タダで参加”している我々としては文句の言い様もない。 そうして真っ暗な海の上で、しらじらと夜は更けていったのであった。 どれくらいの時間が流れたのだろう。 ウトウトと浅い眠りから覚めると、にわかに騒がしい。近くには巨大な船が近づいている。 しばらくすると、その船から1台のボートが近づいてきて横付けした。
“海上保安船” だ!! 全員甲板に出て、救命胴衣を着せられる。 海上保安部のスタッフに1人ずつパスポートの確認をされ、すみやかに救命ボートに 乗るよう指示される。ここに来てようやく気が付いたが、どうやら本気で遭難しているらしい。 “タダほど恐いものはない(?)” 海上保安船にゆられて、Playa Flamingoに到着したのは朝だった。 あまりの疲れにフラフラだ。やっとの思いでタマリンドの宿に辿り着いたらそのままダウン…。 結局1日休養することになったのであった。 散々な目にあったにも係わらず、オーリーズ・ポイントの波を思い出すと、 顔がニヤけてしまう。キレイな波に乗るとすべてがOKになるというのは凄いことだ。 旅に出て1年と1ヶ月。とうとう理想の波と出会えた!! それ以来オーリーズ・ポイントに足蹴く通っている。
使っているのは、もっぱら「Witch's Rock Surf Camp」。 4人からボートを出してくれ、1人50US$。早朝5:30に集合すると、車でPlaya del Cocoまで 1時間半のドライブ。到着後、朝食を摂り、船に荷物を積み込んで出発する。 ここからウィッチーズロックまでボートで45分くらい。オーリーズ・ポイントはさらに 北上したところにある。このツアーは昼食付きで、夕方4:30ぐらいまでサーフィンし放題。 タマリンドに戻るのは夜7:00過ぎだ。 いろいろ調べたが、今のところ、ここが一番安くて評判が良い。
ウィッチーズロックは、映画でおなじみの大きな岩が海にそびえ立つポイントである。
非常にパワフルでホローな波で、 尚且つ、早い。 どちらかというとショート・ボード向きで、 かなり大きい波が立つ時もある。 チューブ狙いの人にお薦めのポイントだ。 我々が気に入ったのは、もっぱら オーリーズ・ポイント。 乾季になれば10隻以上の船が出て 混み合うらしいが、今の時期は空いている。 (ある時など4人だったりした!至福!!)ロングボーダーならヨダレもんの波である。 勿論ショート・ボードでも十分楽しめる。 コスタリカに来て、ようやく理想の波に辿り着いた感じだ。 いっそのことポイントの目の前にキャンプでもしたいところだが、 いかんせん大自然の中なので、ジャガーもいればワニもいるらしく、 蚊の猛威とも戦わなくてはならず勇気がいる。ボートで通う方が無難だろう。 グリーン・シーズンで空いているこの時期に、思いっきり通うしかない。 次はいつ行こうかなぁ…?? |