Vol.64 『ある移動の1日』
  2002年11月9日

『コスタリカの波は最高だ。』と、旅の間いろんな人から聞かされ、
気分は波乗りする気バリバリでコスタリカ入りしたのだが、残念ながら思ったようには
出来ていない。期待が大き過ぎたせいもあるのだろうか?
タマリンドであまりにも波の無い日々を過ごしたせいで、ますますリズムは狂いがち。
あせっても仕方が無い。気分を切り替えてニコヤ半島を下って行くことにする。

太平洋側に突き出したニコヤ半島は、北端から南端まで約130kmにもおよぶビーチが
広がっている。その中にはリゾート開発されている所もあれば地元民が住んでいる
町や村があり、また、手付かずのジャングルそのままの場所もある。

とりあえずの目的地はNOSARA(ノサラ)だ。
ロス・カボスであったアメリカ人マークから、「コスタリカに行くんだったら絶対
ノサラがいいよ。毎日波乗りできるから。」
 そう聞いていたのを思い出したからだ。
もっと早く移動したかったのだが、ノサラへの道はかなりの悪路で有名で、
特に雨季のシーズンは、川が氾濫して移動が難しいらしい。
それでも雨季が終わるまで、これ以上待てない。
2日間雨が降らなかったのをいいことに移動することにした。

タマリンドからノサラまでは車で約5〜6時間とのこと(ただし道路状況による)。
地図で見ると、ビーチ沿いに下ればすぐのような気がするが、
ビーチ沿いはジャングルでアクセスがひどく移動は不可能。
そのため一旦内陸に入り下るのが通常だ。

最寄のSanta Cruz(サンタクルス)Nicoya(ニコヤ)を通ってSamara(サマラ)
までは舗装道路で問題なく、3時間もあれば着くらしい。
問題はその先のサマラからノサラに至る道だ。何時間かかるかまったく不明とのこと。
まぁ、行けるとこまで行ってみるしかない。

ついでに途中で、お金(コスタリカの通貨はコロン)の両替も必要だ。
タマリンドにはATMが無かったのでお金も引き出せず、手持ちのコロンも残り少なくなってきた。
この先、田舎に行けば行くほどクレジット・カードが使えなくなる場所が多くなるので、
どこかでコロンを引き出す必要がある。
“きっと最寄の町で出来るだろう。” ・・・・・そう考えたのが甘かった。

地図
ニコヤ半島の地図。
水色の線が移動の経路。
サンタクルーズ
Santa Cruz。
なんてことない町。

サンタクルスに着いて早速銀行を探すが、どの銀行にもATMのマシーンが無い!
銀行員に尋ねると、Liberia(リベリア)なら出来る。」と言う。「う〜〜む。」
せっかくここまで来たが仕方がない。一路、車で北に走る。

リベリアは国際空港もあるグアナカステ地方の中心地だが、
コスタリカの他の都市同様、町自体は全然たいしたことはない。
(「BARGER KING」と「PIZZA HUT」があるくらい)
いくつかの銀行をまわり、ついにこの町唯一のATMの機械を発見した。
ホッとしたのもつかの間、カードを差し込んでも一向に動く気配がない。
どうやら壊れているらしい。ガ〜〜ン。… 頼むよ!

窓口に相談すると、「サンホセなら出来る」と言う。冗談じゃないっ。
ここからサンホセまで行くとなると片道4時間はかかる。
ATMを散々探し回って疲れた我々に、とてもじゃないがそんな気力はない。
仕方なしにVISAカードで下ろそうとカードを預けるが、
しばらくして、「このカードは使えない」との答えが…。
「えーっ、そんなわけない!」と何度確認しても出来ないと言う。

ほとほと困り果て、違う銀行をダメもとで当たってみたら、ちゃんと同じVISAカードで
下ろす事が出来た。じゃぁ、さっきのは一体なんだったんだろう??
大体、VISAカードで下ろすのならタマリンドでも出来た話じゃないかっ!
考えるのも疲れた。すでに時間は3時を回っている。お腹もペコペコだ。
おもむろに「BARGER KING」に入って無言でバーガーをかぶりつく2人…。
「こういうの、なんていうの?」
「・・・・・ “無駄骨” ?」
「・・・・・・・・・・・・。」

まったく、お金ひとつ下ろすのも大変だ。

気を取り直して再びサンタクルスに向かうも、この時点ですでに今日中にノサラ到着は
無理になった。せめてサマラまでは行っておきたい。車を飛ばす。
サッカー場
どんな町や村にも1つはあるサッカー場。
ジャングルの中にこんなんあったら
確かに気持ちいいだろう。

サンタクルス〜ニコヤ〜サマラまで
爆走。舗装道路で道は簡単。
途中の村でサッカーの試合をしている。
コスタリカでは、大抵の村や町には、
必ずサッカー場があって、その周りに
ちょっとした店があるという構造に
なっている。
サッカー好きの国民なのか??

サマラに近づくにつれ緑が濃くなっていく。
ジャングルに入っていくみたいだ。
ようやく Playa Samara(サマラビーチ)に到着した頃には、すっかり日が暮れていた。
必然的に今夜はここで1泊することになる。
別に急いでいる訳ではないのでかまわない。
こういう時、時間に余裕のある旅は楽だなと思う。
店
翌朝のSamara。
店も少ない。

スーパー
村唯一のスーパー。
この左に隣接している木造部分が
インターネット屋。2台あるだけ。
ホテル
ホテルの朝の風景。
1泊朝食込で28$。
サマラビーチは小さな村だ。
数件の宿と店があるだけ。
コスタリカの家族や若者にとって
手軽な憩いのビーチになっている。
また、ノサラとその先にある
国立野生保護区に向かうエコツアーの
人々の中継地点でもある。
宿に泊まっている人々も
エコ関係者が多かった。

日がどっぷり暮れてからチェック・イン
したので、その夜は外に出る気がせず、
ホテルのイタリアン・レストランでそのまま夕食を摂る。期待に反しておいしい。
テレビがついていたので眺めていると、ジャイアンツの優勝決定戦だった。
「まさか新庄が出てきたりしてね?」
なぁ〜んてしゃべっていたら本当に出てきたので驚いた。
夜店
レストランのテレビに映っているのは…?
新庄選手
なんと新庄くんでした!

思わず興奮して見入っていると、レストランの店員が気をきかせて、TVのボリュームを
大きくしてくれた。別に新庄ファンじゃないけれど、思わず応援してしまうよね、やっぱり。

旅に出てからというもの、日本の情報はほとんど知らない。
インターネットで “Yahoo! JAPAN” でも開ければ良いのだろうけれど、過去2回ほど
開けて観ただけで、後は、たまに出会う日本人から情報を聞くぐらいだ。
それでも各国で偶然観たTVでいろんな世界を垣間見ている。

マウイでは「サバイバー」の新作を、オアフではKIKU・TVで「紅白歌合戦」も観た。
オーストラリアの安宿では「オリンピックの閉会式」に感動したし、カウアイの
コンドミニアムでは「サッカーのワールドカップ日本VSクロアチア戦」で興奮し、
メキシコでは「HBO」で映画を観まくり、タマリンドでは「フレンズ」の新シリーズ… etc。

考えてみれば、いろんな国でいろんな番組を観ている。
まさか、サマラビーチで「新庄君」を観るとは思いもしなかったし。
この先もいろんな国でいろんな番組を観るのだろうかと思うと不思議な気がする。

ホテルの前には、我々の車が、ボードも荷物も乗せたまま駐車してある。
これが今の全財産。簡単なものだ。
明日の今頃はどんな景色の中にいるのか…?
今 “新庄君” を観ている我々には、まったくもって想像の外なのであった。

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