Vol.71 『誕生日の夢』
 2002年12月10日

海外に出ている日本人の一番の夢とはなんであろうか?
日本食を思いっきり食べること? 確かにそれもあるだろう。
コスタリカのド田舎にいる身としては、今ここに日本のコンビニでもあれば大変だ。
半狂乱になるのは間違いない。でも「食」はまだ我慢が出来る。
どうしても我慢が出来ないのは “風呂” である!!

だから先月24日の誕生日を迎える直前に、アキヤンから、
『誕生日に欲しいものは何?』 と聞かれた時に、即座に
『お風呂に入りたい!』 と答えたのも無理はなかろう。

大体、こんなジャングルに欲しい物など何があるというのだっ。
今は物より “風呂” なんだよぉ〜〜〜〜!! と、話はそのまま日本人の
アイデンティティの問題にまで発展していった…。
結局、私の熱弁に押され、誕生日は兼ねてからチェック済みのホテルで2日間
過ごす事になった。

今の宿おばちゃんに、カタコトのスペイン語で2日間だけ出てまた帰ってくることを
伝えると、『ふ〜ん、あ〜そ〜。』 と、相変わらず愛想の無い返事。
どうせ心配しなくても、こんな宿、誰も泊まりはしまい。

それにしても、こんなド田舎にそんな気の利いたホテルがあるのか? と
お思いの方もいるだろう。実はあるのである。うれしいことにVISAカードも使える。
それが「Florblanca Resort」
ロビー
ホテルのメインの建物。
庭
目の前はビーチ。

当初、このホテルを発見した時は驚いた。
その頃道はまだ凸凹だったし、まさかこんな所にリゾートホテルがあるとは
夢にも思えなかった。4ヶ月前にオープンしたばっかりなのでまだ新しい。

L1

部屋はすべてヴィラタイプ。
バスルーム
バスタブがある!

ヴィラタイプの部屋が全部で11室ある、こじんまりとしたリゾートだ。
半分オープン・エアーのリビングは広く快適、インテリアもセンスいい。
なんたってここには “バスタブ” がある!!

リビング
昼間のこんな感じのリビングは…
リビング
… 夜はこう変わる。

チェックインするなり、いきなりバスタブに湯をはる。
温度も熱い。やったぁ〜! と喜んだのもつかの間、お湯はバスタブの半分までしか出ない。
部屋の注意書きを読むと、「ここはジャングルの中、エコの為、部屋のお湯は
1回半分までしか出ないことになっています… etc」 と書いてある。

しかしこの際半分も出れば十分だっ! とばかりに湯の中につかる。
『気持ちイイ〜〜〜!!』 思わず声が出る。
寝転んで肩まで浸かってみたりして幸せ気分にしばし、ボーッ。

お湯が冷たくなってきたのを見計らって、ボディシャンプーをつけたタオルで、
ゴシゴシ… と思いっきり体を洗う。夢中になって洗った後のバスタブは、
恐ろしく垢まみれになっていた。そういえば最後に風呂に入ったのはマウイだから、
実に6ヶ月ぶりの垢を落としたことになる。(汚くてスイマセン!)
部屋
部屋に窓ガラスはない。
部屋
ほとんどオープン・エアーだが、
不思議と虫は少ない。


灰皿

インテリアや小物も気を使ってる。
ベッド
ライトアップもおしゃれ。

風呂からあがると、奥の部屋は、綺麗にベッドメイキングしてあった。
サービスも、コスタリカとは思えない一流ぶり。
ホテルがオープンしたての為か、アメリカや外国からのスタッフが大勢来ていて、
やる気満々の雰囲気で活気に溢れている。
図書館
奥が読書室。中でDVDやビデオ、
ディレクTVも観れる。
プール
パラパの中のハンモックで揺られる。

ホテル内には、ジムや読書室、個室のダイニングなど気の利いた施設もあるし、
高級リゾートとして立派に機能している。宿泊費は1泊200$。
こんなジャングルの中に存在していることを考えれば、安いもんである。

おかげで滞在中に3回も風呂に入り、部屋に付いている電話で事務処理をし、
ホテルのフロントで、エアー・チケットのリコンファームを済ませたり… と、
滞っていた雑用がかなりはかどり、宿泊費の元は十分取らせてもらった。

そもそも、ここにこんなもん造った事自体が凄いと思う。
“ジャングルにどれくらい快適な空間を造れるか?”
このホテルはそれにチャレンジしている。
Birth Day
B.D.ケーキを用意してくれました。

39歳の誕生日ともなれば、
感動もへったくれもない。
なんだか逃げ隠れできない歳に
なってしまったなぁ… というだけである。
それにしても、30代最後の誕生日の
夢が “風呂に入ること” というのも
考えたら情けない話だ。
親が聞いたら泣くだろう。

ホテルをチェックアウトする時には、
すっかり身も心もリフレッシュしていた。
久しぶりに長屋(宿のことをそう呼んでいる)に戻ると、相変わらず無愛想な
おばさんがニコリともせず「ハイよっ。」てな感じで鍵をくれた。
部屋を空けると、以前と同じ薄暗い部屋。
こうして “魔法がとけたシンデレラ” の気分を味わいつつも、
妙にリラックスする原始的生活にまた戻ったのである。

そのまま海に入る。波は頭くらいで綺麗だ。
いつにもまして夕焼けが美しい。
空も海もみるみるうちにピンク色に染まっていく。
39歳初ライドは、 Santa Teresa の綺麗なグーフィーだった。

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