Vol.73 『Pura Vida !! 』 2002年12月20日 インターネットが世の中に与えた影響は計り知れないが、 それは、コスタリカとて例外ではない。 ジャングルに住むエコ関係者はもとより、特にサーファーに与えた影響は、 彼らのライフスタイルを変えてしまうほどのものだったようだ。 その昔、風や地形を読んで波を当てていたサーファー達は、今やいっせいに PCの画面を読んでいる。インターネットで見れる波情報は正確で、しかも 1週間先の予報まで出る時代だ。そしてそれは旅人である我々は勿論のこと、 ローカル・サーファーにも貴重な情報となっている。 コスタリカで最も有名な波はPavones(パヴォネス)だ。 強力なサウススウェルでブレイクするこのポイントは、パナマとの国境の近くにあり、一度スウェルが ヒットすると、1km以上もマシーン・ウェイブが続くと言われている、 世界でもロング・ライドで有名なポイントなのだ。 現地で出会ったサーファー達の間でも、『俺は1分以上乗った』とか、 『俺の友達は2分40秒乗ったんだせ。』などと、このポイントにまつわる逸話は 後を絶たない。難点は、このポイントにはめったに波が立たないということだ。 Pavones自体が田舎で数える程の宿しかなく、波が無いと本当に何もやることが 無いらしく、ローカル・サーファーもあまり住みたがらない。 その代わり、一度波が立つと情報をつかんだら、コスタリカ中のサーファーが、 車や船を乗り継いでこのポイントに殺到するという。 我々も例外にもれず、この素晴らしい波を当てたくて待機していたのだが、 遂に滞在中にPavonesに波が立つことはなかった。本当に残念だ。 それでも、ニコヤ半島は大体廻れていい波にも当たったことだし、まずは満足 してもよいだろう。カリブ海側にも未練があったが2月以降が本領発揮ということで、今回は見送った。次に来る時の楽しみとしてとっておきたいと思う。
混雑した大都市(サンホセなど)や町は別として、 母なる自然の恵みにあふれたこの国は、とにかく治安がいいのが魅力だ。 特に我々は海沿いにいたせいもあるとは思うが、滞在中部屋に鍵をかけることもなく、 すっかり気を抜いて生活していた。 (おかげでお金を盗まれました。よい子の皆さんは真似しないようにしましょう!) 熱帯雨林の植物に色黒のローカル、夜の薄暗い電球の下でヒソヒソ話す おばさん達、ハンモックに揺られる人々…。 最初にこの地に辿り着いた時、“バリ島に似ている”と感じたものだ。 国全体が巨大なウブドゥで、そこに海が付いてる感じ…。 しかし、しばらく居て、今はそれも違うと感じている。ここは空間のスケールも 比べられないほど大きいし、なによりも本物のジャングルがある。 第一、コスタリカは、“現在の日本人にとってのバリ” には成り得ない気がする。 物価はバリの方が安いし、移動も楽だ。しかも、コスタリカ人は間違っても 日本語はしゃべりそうにない! 最低でも英語はしゃべれないと楽しめないと思う。 その代わり、古き良きサーフィン・ライフがここには残っている。
滞在した3ヶ月間。各地に移動しながら、たくさんの人々に出会った。 それは、あたかもこの豊かな自然を目指して、世界中から人が集まってくるかのごとく 様々な人種で入り乱れていた。中でも特に多いのが北米&カナダ人。 地の利から考えたら当然だが(マイアミからサンホセまで飛行機で2時間)、 アメリカ人の間でコスタリカは大流行中だ。本国に比べたら安い物価と熱帯雨林の ジャングル、豊富な波、おまけに治安が良いときたら、私がアメリカ人でも コスタリカに行くだろう。 開拓民族アメリカ人がコスタリカで波乗りをしてくれてるおかげで、英語も通じ、 大いに助かった。逆に日本人のサーファーの姿はあまり見かけなかったように思う。 我々はもっぱらハワイアンに見えたらしく(?)、よく平然と、『アロ〜ハ!』 と挨拶されることが多かった(笑)。
結局滞在中、最低限度のスペイン語で押し切った我々だったが、 コスタリカをより知る為の最後の壁は、やはりスペイン語であろう。 スペイン語が話せる人にとって、ここはパラダイスだ! コスタリカ人は言葉を大切にしている。 たとえ屋台のおばさんだって、発音が間違ってると言い直させられる。 やさしくフレンドリー、且つ強制的(?)とも言える態度で、 キチンと言葉をしゃべることが要求される。 長くなるから省くけれど、言葉に関しては1通のMAILが書けるくらい笑える話が たくさんあった。ここではスペイン語がしゃべれて当たり前。 さすがのアキヤンも、“女子小学生にバカにされた事件”の後には、覚える気満々だったが、 悲しいかな、波乗りメインの生活には、最低限度のボキャブラリーしか必要なかったらしく、 ほどなく挫折していた。
“Pura Vida ! !” とは、コスタリカのスラングで、英語で言うところの “COOL ! ” や“Great ! ” に近い、「凄い」「カッコイイ」の意。 2002年12月現在、我々が居たコスタリカは、インターネットなどの世の中の進歩 と、この国の発展途上さ加減がちょうど重なってよい感じだ。 コスタリカ人も皆やさしく親切。 もう、ドカ〜ンと思いっきりリラックスできて最高!! まさに、"Pura Vida ! !" な場所だった。 一方、田舎の大自然の素朴さや美しさと相反するかのように、 コスタリカ人は都市造りに向いていないのか(?)、町になればなるほど 雑然とした雰囲気になり全然可愛くなくなる。ハコやタマリンドも時間の問題で 都市化していきそうだ。今後のコスタリカはどうなっていくのだろう?
による不動産の購入であることは間違い ない。我々が過去行ったあらゆる場所で この看板を見たし、訪れたどの町や村でも、 建設中の建物を絶えず見かけた。 実際のところ、どこもかしこも、もの凄い 変化を遂げている最中だと言える。 国土の4分の1を自然保護区に指定 しているコスタリカ。 『やはり4分の1じゃ甘いのではないか? 4分の3くらいを保護区にすべきでは なかったのか??』と、余計な心配をしてみるものの、 そんなもの個人でなんとかできる範疇じゃない。 私としては、コスタリカがこのままエコ先進国として突っ走り、 母なるジャングルの大自然が、人間の征服欲を無視してくれればいいなと、 願うばがりである。 “Pura Vida ! !”なパラダイス、コスタリカ。 後ろ髪を引かれまくりながらも、移動する時が来てしまった。 次は乾季に会おう! 明日からは太陽とレゲエの島、JAMAICAが待っている。 See You Soon !! |