Vol.79 『Bajyan Life』 2003年2月1日
Barbados(バルバドス)のことをスラングでBAJYAN(ベイジャン)と言う。 例えば、バルバドス料理のことは“ベイジャン・フード”、 バルバドス人のことは“ベイジャン・ピープル”、といった具合だ。 未だ植民地の雰囲気を残したまま、リゾートの風が吹くこの国には、観光客の姿も 多く見られるが、それ以上に、たくさんの“ベイジャン・ピープル”が住んでいる。 ビーチ沿いの高級リゾートと通り一つはさんだ向かいには、普通の民家が建ち並んでいて、 妙にホッとする景色をかもしだしていたりして…。 観光地化されつつあるとはいえ、ここはまだまだ“ベイジャン・ピープル”の島なのだ。 人口も多く、小さい島にもかかわらず、車の数は多い。 首都ブリッジ・タウンでは、朝夕には通勤ラッシュで車は渋滞しているし、 平日、車でタウンを抜けるのには一苦労だ。 車の運転マナーはいいものの、もう少し、車の数が少ない方が、ゆっくり島を 見て回れるのに…。そう思うこともしばしばあった。
さて、今回2週間余りの滞在であったが、あっという間に時は流れてしまった。 所詮2週間で何がわかるというのだろう? 旅をしていてつくづく感じるのは、新しい場所のリズムが体に染みていくには、 ある程度の時間がかかるということだ。 ようやく把握してきたところで、早くも“Bajyan Life”とお別れである。 Barbadosはキレイな島だった。
島の西側は、穏やかな海とビーチが広がっている高級リゾート地。 東側は断崖絶壁で、常に貿易風が吹き波しぶきがあがる大西洋。 南側には、イギリスの匂いのする町並みの首都ブリッジ・タウンと、ビーチ沿いに 立ち並ぶリゾート・ホテルがあり、島の真ん中には、熱帯雨林の山と砂糖キビ畑、 そして古い村々が存在している。 半日もあれば十分、島を1周出来るくらいの小さな島。 観光といっても、これといって大したものはない。 しいて言えば、「Harrison's Cave (ハリソン・ケイブ) 」という鍾乳洞があるくらいだ。 例のごとく、地図を片手に、道を尋ねながら行くのだが、田舎に行けば行くほど、 なまりがひどくて、言葉が通じにくい。 道行くおじさんに、「エクスキューズミー!」と呼びかけ、 「○○に行きたいのだけれど…。」と尋ねると、 「☆Фё%$#ЭдбЯжЁ!!」 「・・・・????。」 まるで、コンピューターの文字化けみたいな言葉が返ってくる。 一応、こちらの問いかけに対して返事が戻ってくるので、英語には違いないのだろうが、 何度聞き返してもさっぱりわからない。それでも皆一様に、熱心に教えてくれる。 しょうがないから、さも、わかった振りをして、 「なるほどフムフム…。オーケー。サンキュー。」と、 全然OKじゃないのだが答えて立ち去る…。トホホ。 ベイジャンのおじさんの言葉は、スペイン語よりわかりにくいのである。
島の真ん中の熱帯雨林に 覆われた岩の下にある洞窟。 一応、観光地らしく、ビデオ上映があり、 その後、トラムカーに乗って洞窟めぐり。 ライトアップされた鍾乳洞や天然の 地下プールを見て回るというもの…。 まぁ、暇だったら行ってみれば?という感じ。 島の天気は変わりやすく、晴れているかと 思えば、あっという間に雨雲が やってきて雨が降り、そしてまたすぐ晴れる。 雲をさえぎる高い山が無いせいか、 空にいつまでも雲がかかっている事は無い。 今の時期、気温は高いが、いつも気持ちよい風が吹いているので、 過ごしやすい気候だ。
小さな島なので、あっと驚く大自然とか、歴史的な建造物とかはあまりない。 食事もこれと言って特別おいしいものもないし、観光も大したことない。 その代わり…、とんでもなく美しい海がここにはある!! ダイビング、釣り、サーフィンなど、なんでもござれ! 特に、この島はマウイ島と同じ“風の島”なので、ウィンド・サーフィンには最適。 まさに、マリン・スポーツ好きにはパラダイスなのである。 海も空いていて、サーファーの数は少ない。 観光で訪れている外国人は、土地柄のせいか(?)イギリス人が多く、礼儀正しい。 ローカルは、この地を気に入り移り住んだ少数の外国人とやさしいベイジャン。 波の取り合いもなく、平和…。 「もうすぐスウェルが入るよ!」というローカルの言葉もむなしく(大抵のサーファーは 波に対して“前向き”なので、これは希望的観測も含まれると思われる)、 滞在中に最高の波に当たることもなかったが、久しぶりの波乗りは楽しかった。
だって、海は空いてるし、ローカルはやさしい。 温度はお湯みたいに暖かいし、透明度抜群! プールのような色の海に立つ波は、波に乗っていると水の色が透けて見えて、 思わず「ひゃ〜〜〜〜ぁ!」と声が出てしまう程キレイだ。 これが、いわゆる“カリブで波乗り”っていうやつなのか? 例え膝波でも、もう、海に入っているだけで気持ちいい…。
毎朝起きると、そこには、 “アクアマリン・ブルー”の 海が広がっている。 一日はあっという間だ。 夕方になると、そこには、 最高に綺麗な夕日が落ちていく。 取り立てて凄い波に乗ったでもなく、 凄い事があったわけでもなく、 なんだか素朴でのんびりした場所で、 ただただ素朴にのんびり過ごした日々。 “Bajyan Life”は本当に穏やかなもんだった。 たまには、こんな時があってもいいかな? と思う。 明日からは、カリブ海の中でも、ちょいと異国のCUBA(キューバ)に移動だ。 初めての社会主義国…。“アナザー・ワールド”を探索するつもりである。 |