Vol.97 『LONDON』 2003年5月22日 居心地のよかったネパールを離れデリー(インド)経由でパリに到着。 所変われば人も変わる。 お金もルピーからユーロに変わった。 アジアの空気からヨーロッパの世界へ…。 我々はここから一旦、イギリスに向かう為、更にポンドに両替した。 冬は極寒で有名なヨーロッパも、そろそろ春から初夏に変わる頃?と、 一応季節も頭に置いて移動したのだが…。
“ポカポカ陽気” の期待は見事に裏切られた。 この時期、London(ロンドン)はまだまだ寒かった…。 「ヒエェ〜〜〜ッ!」 思わず声が出る。今まで夏仕様、良くても春仕様の服しか 持ってなかった我々にとって、完璧にキャパ越えの寒さである。 当然だけど、ゴムぞうりで歩いている人なんぞここにはいない。 皆靴を履いてるし、綺麗な服を着ている。ここは紛れも無い大都会なのであった。 “このままでは死んでしまう” と、着いて早々、ジャケットと靴を買う。 今回Londonに来たのは他でもない。 以前から気になっていたホテルに泊まる為である。 この町にはSMLグループ(NY、ロスを中心に広がるホテル・チェーン)の経営するホテル、 「ST MARTINS LANE」と「SANDERSON」の2つがあるのだ。
前もって予約を入れておいた順番で、まずは「ST MARTINS LANE」へ。 フロントマンのオシャレな格好を見て、“ジャケットと靴を買ってよかった” と、心から思う。 自分がミック・ジャガーでもない限り、こんな所に破れたジーンズでチェック・インするのは 気が引ける。TPOの健在を確認しつつチェック・イン。 「ST MARTINS LANE」は、最近元気の良いSMLグループ経営のホテルで、 いわゆる「ブティック・ホテル」と呼ばれている類のホテルである。 アメリカ主体で活躍しているこのホテル・チェーン初の海外版というわけ。 特に部屋が様々な色に変化することで有名なホテルだ。 ちょうどホテルでは、ある新作映画の打ち上げパーティーが行われていて、 映画スターやセレブリティが集まり、華やかな雰囲気だった。
このホテル、便利な立地条件のせいか(?)、バスタブもなく部屋は意外と狭い。 それでもアメニティ・グッズはオシャレだし、部屋もカワイイし、まずは満足。 ベッド脇のパネルをいじると、部屋の色が変わってユニークな造りになっている。 笑えたのは、ホテルの面白さやカッコ良さよりまず先に、 アリも蚊もハエもいない室内、きちんと糊の利いたシーツ、 高級ホテル特有のベッドや真っ白なタオルに感動している自分達であった。 やばい…。 結構、遠くから来てる… (笑)。
寒さにビビリつつ、気合を入れて外に出る。 大都会Londonは店も人も多い。つまり『記号』が多いのだ! 整然とした都会には、野良牛もいないし、ボーっと暇つぶししている人もいない。 「GAP」も「マック」も至るところに存在していて、『記号』の少ない所から来た者にとっては、 思わず目が泳いでしまうくらいモノが多い。足早に歩いていく人々は、そうした様々なモノを “都会のスピード感” でうまくこなしているみたいに見える。 肩入れしていた戦争が圧勝に終わったせいか(?)、旅行者にはあんまりうれしくはないが、 ポンドは高騰していて町は経済的にも元気に見えるし、働く人々の表情も皆明るい。 なんといっても「買えるモノ」の多い世界である!
『イギリスの食事はまずい』という伝統も、 来るコスモポリタン時代を意識してか?随分 改善されたようだ。世界中の料理が ひしめいている。それでも我々はもっぱら 和食にハマッてしまい、「さくら」 (元俳優の 広岡シュン氏が働いている)に足蹴く 通ってしまった。 ご馳走様!
都会は1日が終わるのが早い。 朝起きて街に出たかと思うと、あっという間に日が暮れていく。 文明世界のありとあらゆる最新式のモノが手に入り、オシャレな服や小物の店にも 事欠かない。カフェやクラブ&バーも遅くまで営業してるし、居る人もカッコイイ。 大自然も最高だけど、私は街も好きだ。 それも中途半端な街じゃなくて、ド〜ンと大都会が好き。 大都会には “人間が創った素敵なモノ” が、整然と便利にたくさん存在している。 ジャングルにいろんなものが生息しているように、大都会にもいろんな人とモノが 生息している。のんびり生活するリズムも楽しいけれど、刺激とスピード感のある 毎日も楽しい。きっと欲張りなんだと思う。 4日後、もう1つのホテル「SANDERSON」に移動した。
今回泊まった2つのホテルのうち、個人的には、この「SANDERSON」の方が より落ち着けて気に入った。部屋も広いし、バス・ルームもシンプルでお洒落。 1Fにあるバーも、夜になると、遊ぶ大人のいい感じの客が集まり賑わっていて、 一杯飲むのに気持ちのいい空間だ。
「SANDERSON」は、かの有名デザイナー、 スタルクがプロデュースしたホテルで、ホテル内には スタルク作品がさりげなく置いてある。 ホテルスタッフも感じいいし、インテリアにも 遊び心が溢れていた。 久しぶりの大都会は、興奮しているうちに 過ぎ去ってしまう。せっかくいいホテルに泊まって いるのだから、ホテルライフをのんびり楽しみたい という気分はあれど、“都会の誘惑” には勝てなかった。 ショッピングに美術館にオペラにレストラン… etc。 1週間程の滞在期間、かなり欲望に忠実に動いてしまい、 楽しかったけどクタびれた。 ようするに、これは 『田舎もんが初めて東京に出てきて「パーク・ハイヤット東京」に泊まり、 ホテルライフも楽しみたいが都会も楽しみたい!と両方観ようとして、結果ハードな動きに なりましたっ。』 てな感じなのだと思われる。 なんせネパールから来てるからねぇ… (笑)。 それにしてもLondonは物価が高い! 最初ネパールから来たせいか?と思ったが、どうやらそうでもないみたいだ。 特に現在 1ポンド=200円である。すべてがリゾート並みの高さで、ATMでお金を下ろしても 気付くと無くなっている。たぶん東京より高いと思う。ちなみに日本の百円ライターが400円。 レストランも総じて値段高め。この国の “快適ゾーン” は物価係数が高い。 気持ちいい所に泊まって、それなりにおいしいものを食べて、観たいものを観る、と 特別贅沢したつもりはないのに、滞在1週間弱で、なんとネパールの1ヶ月分のお金を 使ってしまった! 「お金」の価値って一体…? と頭がクラクラする。 どちらにせよ、この寒さには耐えられそうに無い。 ここは “ポカポカ・ヨーロッパ” を求めて移動しよう。 ということで、次は “花の王国” オランダに動きます。 See you in Amsterdam !! |