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Vol.100 『自転車王国』
 2003年6月13日

Amsterdamの交通機関は多い。
トラムやメトロ、バス、車、ボート…。
でも市民の最も大事な『足』となっているのは?
自転車
跳ね橋と自転車は良く似合う。


チャリこと「自転車」である!!


確かに他の交通機関より
小回りが利くし、自分の
ペースで動けるというのは
便利このうえない。
特にAmsterdamの街の大きさは「自転車」で十分回れる広さ。
街中には自転車専用道路が確保されているので運転もラク。
交差点には自転車専用の信号機まである(ちゃんと自転車マークのライトが
つくのがカワイイ!)。しかも動力は自分の足、つまりタダである。

もともと山がほとんどない平坦な土地なので、「自転車」の運転にはもってこい。
オランダは海面下の土地が多いため、地球温暖化は切実な問題だ。
温室効果ガスを減らす効果も絶大だとして、国も環境保護団体も、
諸手をあげて「自転車」利用を奨励している。企業が政府の要請に応じて社員に
通勤用「自転車」を貸し与えるなどの政策もとられているほどだ。

そのせいかどうかは知らないが、この国の自転車普及率は
一人当たり一台というから凄い! まさに“自転車王国”なのである。

自転車
ズラーッと駐車された自転車。
自転車の鍵
蚤の市の鍵屋。

いいことづくめの「自転車」だが、唯一の難点は『盗まれること』。
そう…、“自転車王国” は同時に “泥棒王国” でもあったのだった。

大屋のパトから「自転車」を借りたアキヤンは、「くれぐれも鍵だけはかけてよ」
と念押しされていた。パト曰く、今年に入って7回盗まれたというのだ。
以来、出会う人ごとに聞いているが、皆同様に「自転車」を盗まれた経験も持つ。
(ちなみに最も少ない人で6回。多い人は20回という人もいた!)

街中のとある場所では、そうして盗まれた「自転車」が、破格の安値で、
闇で売り買いされている。それらはもちろん盗品なのだろうが、中にはかなり程度の
良いものもあるらしい。「自転車」を盗まれた本人は、そこで自分と同じように
盗まれたであろう誰かの「自転車」を買うのである。こうしてむなしく非情な
ブラック・マーケットが成り立っているというわけ。
タイヤの無い自転車
タイヤが盗まれた自転車。…ヒドイ。
錠をかけているところ
厳重に鍵をするのにも慣れました。

だから「鍵」は必需品。鍵をかけずに放置したら間違いなくなくなるであろう。
その鍵というのも日本のものと比べてたら、幅も太いゴツイもの。
しかも、車輪が回らないようにする鍵、どこかに本体をくくりつけるための鍵と
最低限でも2個は必要ときている。中古の「自転車」を買っても、
その鍵代のほうが高くついたというのもよく聞く話だ。

そこまで気をつけても「自転車」はなくなる。標識や欄干とかにくくりつけて
おかないと、泥棒がトラックで持っていってしまうのだ。鎖を切られたり、
ハンドルや車輪などのパーツだけ盗まれたりする。
たまに街で「自転車」の車輪だけ持って歩いている人を見かけたりすると、
“あの人、泥棒だったりして?”などと、つい思ってしまう(笑)。

ユメ
季節もようやく暖かくなってきた。
まさに「自転車」日和。
ところで、オランダの「自転車」は
ほとんどフットブレーキである。
これが慣れないとなかなか難しい。
地元民はオランダの自転車が
フットブレーキなのは寒い冬に
ポケットに手を入れて運転できる
ようによ。」
などとのたまうが、
真偽の程は定かではない。

なにはともあれ、アキヤンはパト
「自転車」を借り、私は観光客御用達の
レンタサイクル・ショップ「Mac Bike」で自分用をゲット。
アキヤンに絶対危ないから止めろと言われ、しかたなく手動ブレーキのもの。
見た目はともかく、なかなか乗りやすく、今や生活必需品と化している。
木の下で読書
お気に入りの近所の公園。
ここで本を読むのが好き。

ひとたび「自転車」のある生活を
始めると、あまりの快適さに
もはやそれなしではいられない。
この街では、それほど便利なもの
なのだ。だって、20分もあれば、
Amsterdam中どこにでも
行けるんだよ!

アルベルト・カイフ通り
アルベルト・カイフ通りの蚤の市。
着る物から日用品、食材までなんでも揃っている。
八百屋
八百屋。

フリマ?
ようするに、何売ってもいいんだね…。



チーズ屋

チーズ屋。

毎朝、起きたらまずコーヒーを飲む。
朝食(大抵、昼食を兼ねてることが多い)を食べて落ち着いたら街に出る。

面積あたりのミュージアム数世界一といわれるほどたくさんの美術館。
ハリウッドものでもなんでも観れる大型映画館。
結構、見ごたえのある動物園&水族館。
アーティストのアトリエ。生活雑貨は大抵揃う蚤の市。
その他、本屋、ビデオ屋、およそ都会にあるものはなんでも揃ってる。

『物』 や 『情報』 に疲れたら公園でのんびり…。
お腹が空いたらレストランやカフェがいくらでもある。
インドネシア、イタリアン、中華(中華街もある!)、和食と世界の料理が目白押し。
味が気に入らなければ、中華街のスーパーには日本の食材も多少売られてるので
自炊も快適だ。

夜は夜で、この街はのナイトライフは“不夜城”。
こそ泥やドラッグ・ディーラーに気をつけるくらいで、治安はいいので安全だし、
チューリップ
オランダでは花は安い。
チューリップ50本で1350円。
なんだか街をあげて“遊んでくださいっ”て
言われてるような気がする。勿論、夜遊び
するのに活躍するのも「自転車」である。

ようやく季候が暖かくなってきて、服装が
Tシャツで十分になったというのも
うれしい誤算。
この時期、ボート・ハウスや各家の
ベランダには鉢植えの花や植物が
飾られていて、街に彩りを添えている。
インターネット屋
BAR&インターネット屋。

インターネット屋

ここのインターネットが一番早い!
あまりのスピード感にびっくり。

日本で東京に住んでいたせいか、街は妙に落ち着くところがある。
海とか山とか、自然の中には無いリラックスがあるのだ。

波乗りや辺鄙な国に行けば行くほど、自然はダイナミックになり、人や時間の
スピードはゆっくりと流れ始めて…。そういう感覚は最高だけど、どんな時にも
最低、人間の「命」に関わる食住のライフラインだけは確保しておかねばならない
というのはあるでしょう? (気安く病気になれない… とか)

ところが、都会だとその最低のライフラインは確保されている。
『物』 や 『情報』 がなんでもあることによって、「命」 に差し障るような状態には
なりにくい。しかもこの街はすべてがスムーズなアーバン・ライフ。
体の中の緊張していたある部分が、みるみるほぐれていくのが自分でもわかる。
・・・・・ “久しく忘れていた安心感”なのだ。

夕日&ユメ
夕日を見ながら家に帰るところ。
コンパクトな都会の中、晴れて風も
気持ちいいとなれば外に出たくもなる
というもの。そしてそこに「自転車」が
あればもう、最高だ!!
こうして、一旦外に出たら、気づいたら
時間が過ぎて、家に帰るのは
深夜だった…(笑)、な〜んてことも
少なくない。

でも何が気持ちいいって、
やはり『スピード感』だろう。

外に出る。いい天気。
「自転車」のサドルにまたがって、前を見る。
ゆっくりと、ペダルを漕ぎ出す…。風を感じる…。
周りの景色がゆっくりと変わっていく…。
この瞬間が好き。
急に世界が変わる。
ペダルはドンドン軽くなる…。風が気持ちいい…。
街の大きさに「自転車」のスピード感がちょうどいい。

ようやく、Amsterdamタイムの“波”に乗り始めたみたいだ。

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