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Vol.103 『 Let's Surf ! 』
 2003年7月3日

今年初めての本格的なサウス・スウェルが入った頃、
我々は、再びハワイにやって来た。

ワイキキ
Waikiki の波。
それからもう、かれこれ3週間程
滞在していることになる。
世界各国を周った末に辿り着いた
ハワイは、やっぱりいい。
治安が良くて、和食が思う存分
食べられて、ゴム草履で歩ける街…。
何よりも、毎日抜けるように青く
晴れ渡る空が最高だ。

Amsterdamからシアトル経由で
オアフ島に入ったのは先月のこと。
ノース・ウエスト航空を使ったのだが、テロや戦争の影響で、
アメリカのエアーを使っての出国は、以前にもまして厳しくなっていた。

搭乗手続きの際には、コートや靴まで脱がされるし、荷物は入念なチェックを受けた。
ようやくそこを抜けて搭乗口に向かうと、長蛇の列が待っている。何事か?と
思っていたら、搭乗口に6箇所のブースが作られていて、一人一人、
インタビューを受けているのであった。

「Amsterdamには何しに来たのですか?」と尋ねられて、
「遊びに…。」と答えると、
「滞在中、何をしていましたか?」と聞かれ、
「何って…。美術館めぐりしたりブラブラと…。」などと答えると、
「それでは、その美術館の名前を言って下さい。」と、次から次へと
質問の嵐。まるでFBIの心理捜査官のような厳しさなのだ。

10分程で開放されて、晴れて搭乗となったのだが、イラク戦争以来、
アメリカは軍事防衛を国外の窓口にまで広げたらしい。やれやれ…。
この分じゃ、そのうち、靴脱ぐどころか裸にされる日も遠くなさそうだ。
それでもシアトル経由の為、ハワイに簡単に入国できたのは、ラッキーと
言えるのかもしれない。(いつも、入国審査で止められて時間がかかる!)


ワイキキビーチ

Waikiki beach
椰子の木
青空と椰子の木。

空港には、橋本一家のおかみさん、緑ちゃんが車で迎えに来てくれていた。
いつもありがとう! 辿り着いた土地に友達がいるというのはうれしいものだ。
その土地の空気にすーっと自然に入っていける。一年振りの再会に話もはずむ。
2人の子供達、さゆり(13歳)とあゆ(9歳)も一回り大きくなっていたし、
緑ちゃんは波乗りを始めていて、すっかりサーファーになっていた。
時の流れは、思っているよりいつも早い。

アウトリガーホテル
今回の滞在先となった
Waikiki Shore」。
部屋の中
studioタイプの部屋はこんな感じ。

今回の滞在先は「Waikiki Shore」。以前から泊まってみたいと思っていた
ワイキキ・ビーチに唯一建つキッチン付のコンドミニアムだ。
ポイントは目の前だし、立地条件は抜群!
ここで、久しぶりの波乗り三昧の生活を送ろうという魂胆なのである。

まずは海に飛び込む。
水が温かくて気持ちイイ〜! まるで、海水に体が溶けていくみたいだ。
久しぶりのこの感覚。懐かしい…。
ようやく戻ってきたなぁ〜、海のある生活。
玄関越しの景色
起きてドアを開けるとダイヤモンドヘッド!
ポイントチェックもイージー。

バルコニー

バルコニー。

…と喜んだのもつかの間、3秒後には驚きの事実に愕然とする!
“体が動かない!!”

自分達の使い慣れたサーフ・ボードは、次の目的地バリ島に送って
しまっているので、新しいボードで慣れていないということもある。
まともな波乗りが久しぶりというのもあるのかもしれない。
しか〜し!それにしても酷すぎる!なんせパドルをするのも大変なのだ。

「まさか、ここまで下手になるとは…。」
2人共、ショックで愕然となったのは言うまでもない。
波乗りって、やらないとすぐに元に戻るものだったのね。あ〜あ。

そんなある日、橋本家の長女さゆりが、WAHINE(女)のサーフィン大会に
出るという。思い起こせば、去年の今頃の彼女は、波乗りを始めたばかりで
ようやく立って滑れるくらいだった。それが大会に出るまでになるというのは
凄い進歩である。これは応援に行くしかないでしょう!と、大会会場となる
ワイキキ・ビーチに向かった。


千秋さんとさゆりちゃん

大会前の父と娘。
“チャイナ”ウエムラ氏と
結果はなんと!2位入賞!
凄いよ、さゆり…。

WAHINEの大会なので、当然、出場者は女の子オンリー。
カルフォルニアからプロサーファーもエントリーしてたりして、レベルは高い。
野郎ばっかの大会と違って、女の子達は可愛いし華やかな感じ。
和気あいあいとしたALOHAな雰囲気の中、ROXYガールの様な女の子達の
波乗りを見るのは楽しかった。そして気になる橋本家の愛娘さゆりの結果は、
なんと! 2位入賞!! 凄い!

こういうのを目の当たりに見ると、子供の可能性は、本当に底知れないものだと思う。
なんたって、想像力や体力に制限を感じていないというのが、素晴らしい。
子供の進歩は早い。そして同様に、大人の退化も早いのだ。

そんなこんなで、あっという間に抜かれてしまった我々。
海の中でも、目の前でウォーキングやスウィッチを決めるさゆりを見て、
「子供って、これだから嫌いだよ…。」とうそぶいているのであった。

さぁ、メゲてる場合じゃない。
まずはリハビリだぁ〜!
ワイキキ・オン・ザ・ビーチの生活は、こうして始まった。

ジョエル・チューダーのビデオを
観ながらイメトレ?




Let's Surf !

オン・シーズンにもかかわらず、戦争やSARSの影響なのか(?)
カラカウア通りの人の数も、いつもより少ない気がする。
それでも海の中は別だ。オアフ島の海はいつも混雑している。

その昔、王様が波乗りする時は、他の人はその波には乗れなかったという話がある。
いわゆる、マイ・ウェーブって奴が存在していたのだ! 羨ましい…。
ローカル+世界中からやって来たサーファーで混雑する現在のワイキキでは、
そんな夢のような時代は、もう二度と戻らないだろう。

先日、海で一人のローカルのおじいさんと出会った。
そのおじいさんは、カリフォルニアからハワイに移り住んで25年になるという。
思わず、「25年前と比べてハワイは変わりましたか?」と尋ねると、
「そりゃぁ、もう、街も変わったし、海の中に人も増えたよ…。」
おじいさんはそう答えた後に、ボソッと一言、こうつぶやいた。
「でも…、波は変わらない。」

それを聞いて、なんだかジーンと心が熱くなった。
“ああ、この人は、ずーっとワイキキの波に乗ってるんだ…。”ってね。

ハワイの波乗りの歴史は古い。
大体、“王様がサーフィンしていた島”なんて、世界中どこに行ったって、
聞いたことない! ここは昔も今も変わらず、『サーファーズ・パラダイス』で
あり続けている特別な島なのだ。

そんな島に、再び出会えたことに感謝!
ここでゆっくり、“変わらない波”に負けないよう、“変わらない体”を
作っていきたいものである。

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