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Vol.105 『OAHUでリハビリ?』![]() あれは確か、旅に出て最初にオアフ島に寄った時のこと。 ノース・ショアのハレイワ・ビーチやパイプラインで、何度か映画の撮影らしき 現場を見る機会があった。数人の女の子達が出演するそのサーフ・ムービーは、 後に、『ブルー・クラッシュ』という名で公開された。 最近のハリウッド映画ではサーフ・シーンがよく出てくる。 『007』では、レイヤード・ハミルトンがマシンガンを担いで、「ジョーズ」の大波を 駆け下りるスタントを演じていたし、最近観た映画『チャーリーズ・エンジェル2』では、 リサ・アンダーソンがキャメロン・ディアスのスタントでパイプラインに 入って話題になっていた。 実際に観た『チャーリーズ・エンジェル2』は、サーフ・シーンはほんのちょっぴり だったし、サーフ・ボードをビーチに縦に突き刺し立ち話… なぁ〜ていう トンデモ場面も登場し、思いっきりハリウッド物に仕上がっていて笑えた。 挙句の果てには、ウルトラミニのビキニ姿でショート・ボードを片手に出てきた デミー・ムーアが、ビーチまで乗り入れた真っ赤なスポーツ・カーで去ってく…。 「おい、おい、そりゃないよ〜!」と、思わず突っ込みを入れたくなったのは 私だけではなかろう(笑)。 聞くところによると、かのシャネルやヴィトンのショーでは、モデルが サーフ・ボード持って歩いていたというし、以前から薄々そうではないか?と 疑ってはいたが、ひょっとするとひょっとして…、 “今、波乗りってブームなの???”
オアフ島で出会う日本人に尋ねると、皆一様に、「そりゃもう、流行ってます。」 「日本の海はお姉ちゃんが一杯ですヨー。」などという答えが帰ってくるので、 きっとそうなんだろう。なんせ旅に出てからというもの、日本の情報は、たまに 出会う日本人から聞くのみ!になっていたので、ここに来て驚くことが多い。 まぁ、私がやってるくらいだから流行っているのも不思議ではないが、 どうやらこれは日本だけではなく、世界的レベルでサーファー&ボディ・ボーダーは 急増していて、海は混雑しているらしい。 どうりで、海の中に人が多いと思った…。 戦争やSARSのせいで、例年より観光客が減っているオアフ島も、 海の中だけは例外だ。事実、ワイキキは去年よりも格段、混んでいる!! 上手いならまだしも、下手っぴなレベルとしては、この状況はチト辛い。 だってサーファーやボディ・ボーダーが増えても波数は一緒だし、ただでさえ、 ハイエナのように余った波に乗ってるのに、これ以上増えたら、ますます乗れなく なるではないかっ! う〜〜〜困る…。
今まで旅してわかったことは、“便利な所は混んでいる”ということだった。 文明から遠い秘境に行けば行くほど、海は空いている。 考えてみれば当然のことだ。特にオアフ島のように一年中気候が温暖で シティ・ライフが営める所なら、混むのは歴然である。 この先このまま、海人口が増えていったらどうなるのか? “リラックスして波乗りを楽しむ”というのは儚い夢となるのか? もはやエンドレス・サマーの秘境が無くなっていって、そのうち、
聞く時が来るかも? そんな不安を覚える今日この頃なのであった。 それでも波乗りが流行っているおかげで、 雑誌や情報も増え、ギアはドンドン進化して いくだろうし、それに伴うグッズも 充実するので、まんざら悪い事ばかり じゃない。 世の中、何かと「共存共生」の時代だ。 これからの海は、対「自然」だけではなく、 対「人」とも『調和』していく時代に なるのかもしれない。 それにしても、この島は想像以上に時間が過ぎるのが早かった。 「アメリカ&ポリネシアン&日本文化」がミックスしたオアフ島。 物も情報も十分過ぎるほどあるし、人も多く、街のスピードは速い。
その分、知り合いは簡単に出来るけど、ローカルと本当の意味で友達になる のは時間がかかるような気がする。ノースやマカハにでも滞在するなら別だが、 我々が滞在していたのは、“ザ・ワイキキ”。 ここは人が多すぎるし、彼らとて、この文明の真っ只中で生活しているのだから、 忙しい毎日には違いない。フラやウクレレ、もしくはカヌーでもやれば、また違う 世界があるのだろうが、ワイキキは忙しい。知り合いになって仲良くなっても、 なかなかゆっくりと腰を落ち着けてしゃべる時間を持つのは難しかった。 だから今回はもっぱらこれ!
クヒオ通りにあるレンタルビデオ屋。日本のTV番組がそのまんま観れる。 まさに、オアフ島だからこそ存在しているような店である。 バラエティ番組からニュース番組まで…。毎週ここで10本程借りて、 留守の間の日本の情報を一気に垣間見る日々。 キムタク主演のドラマ『グッド・ラック』を観ながら、「これが今、島で一番人気の 俳優さんだよ。」と嘯くアキヤン。“極東の小さな島国日本のTV番組を、 これまた、太平洋に浮かぶ小さな島で観ている…”というのも、 よ〜く考えると、妙な感じである。
数回部屋の引越しはしたものの、「Waikiki Shore」でのコンドミニアム生活は 快適で、結局、約1ヵ月半の滞在となってしまった。マネージャー曰く、 オーナー以外の宿泊者では、過去最長の滞在者ということだった。 おかげで、従業員ともすっかり顔見知り。次回来る時の楽しみが増えた。
サーフィン・ライフに戻り、 和食への欲望も満たされ、 人込みやスピードにも慣れた。 TVや雑誌&新聞で情報収集も 十分出来る文明生活の中で、 来るべき社会復帰に向けての リハビリ完了… といった感である。 そして出発の日。
チェック・イン・カウンターは、相変わらずの長蛇の列。 預ける荷物には、中を調べる為、鍵が掛けられなくなっていた。 今までにもまして長〜〜い搭乗手続きを済ませて、飛行機に乗り込む。 やがて飛行機は、ゆっくりと上昇し始めた。 窓には、ワイキキの景色が広がっていく。…美しい。 Mahalo ! OAHU !! こうして、我々は“最後の楽園” BALI島に向かった。 |