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Vol.112 『LOCAL LIFE』
 2003年9月12日

アジアの島国で育った我々は、基本的に日本じゃない所を「外国」と呼んで差別化
している。地球を船で移動していた時代ならまだしも、今や飛行機にちょいと乗って
移動すれば、まったく違う文化や生活に触れられる。 …凄いことだ。

そういう意味では、バリ島はまぎれもなく「外国」である。
なのに全然そんな気がしない。

何度も訪れているので、今更「観光」という感じでもない。
「ラフティング」 も 「ケチャックダンス」 も 「寺院巡り」 も 「島一周」 も、すでに数回
体験してしまったので、このHPに書くにも筆が全然進まなくて困っている。
見知った顔もたくさんあるし、なんだか日本の地方都市にいるくらいの感覚だ。
そういった意味では、この島は非常に気が緩む…、 というか緩みっぱなし(笑)。

こういう時に、『私はバリ初めてなんですぅ。』 な〜んて人が遊びに来てくれれば、
ついでにいろいろ行けるもんだが、寄りによって登場したのが GO こと 大和田 剛 である。
(詳しくは www.go-style.comここを参照のこと)。
“旅の最後はやはり合流するしかないでしょう!” と、遂に乱入だっ!

コイツはコイツで、バリに住民票でもあるのか? というくらい長年バリ島に通っている。

先日も20年来の定宿にちょっと顔を出したら、そこのスタッフに「あ〜、 GOさん」と、
まるで近所から来たくらいの感じでけだるく出迎えられ、「俺、一応日本から
来てるんだぞぉ〜! もっと感動してくれよ…。」
と嘆いていた(笑)。

ご存知の方も多いだろうが、彼は我々のHPの大家でもある。
といっても、我々同様コンピューター音痴の奴にHPなど作れるわけがない。
作っているのはこの人である!!
ホームページ製作者
桑木 耕介。36歳独身。
「いい人」とは君の事だよ!

旅に出る直前に、「旅先からメール送るから、
テキトーに立ち上げといてよ。」
といきなり
頼んだ我々の申し出を、嫌な顔一つせず、
快く引き受けてくれた桑木
気軽に引き受けたのはいいが、まさか、こんなに
長く続くとは思いもしなかったことであろう。

日々サラリーマンの仕事もきちんとやりながらも、
公私にわたって、あの GO のお世話に
あけくれて(ちなみにノーギャラ)いると
いうのだから、いい人に違いない。

世界中から、勝手に送りつけられてくるメールを、必殺仕事人のように、
毎回必ず立ち上げてくれていた。素晴らしい人である。いつもありがとう!!
今頃は GO がいなくてホッと気が抜けていることだろう(笑)。

どちらにせよ、 GO の登場で、「LOCAL LIFE」にすっかり歯止めがなくなったのは、
言うまでもない。毎日ダラダラしているうちに、月日が飛ぶように流れていっている。

ある夜。「久しぶりに朝市にでも行く?」と、デンパサールの『朝市』に出かけた。
都市部にはスーパー・マーケットやデパートがあるものの、一般的なバリ人の「食」を
支えているのは、昔も今も『朝市』。ローカルの生活観を体感できる私のお気に入り
の場所である。

様々な食材が並ぶ朝市の
パサール(朝市)
たくさんの人で賑わう朝市
深夜12時からスタート。
朝に近づくほどに活気が出る。

よく行くのはデンパサールの『朝市』だ。『朝市』といってもここは深夜から始まる、
バリ島で最も大きく活気のある市場だ。夜中の12時から始まって、
深夜3時4時になると足の踏み場のなくなるくらい人が増える。

島内の海や山は勿論のこと、たまには近辺の島からも、新鮮な野菜や魚や肉などを
持ち寄るおばさん達が集まって、いつも大賑わいである。
各村の朝市のおばさん達もここに買い付けにきたりする、いわゆる島内の台所。

深夜12時。頭に大きな籠を乗せたおばさん達が、大勢集まってくる。
実はこれら食材が目一杯詰まった籠は異常に重い。過去に一度、持たせてくれる
ように頼んで、“頭の乗せ”にトライしようとしたことがあるのだが、重いのなんのって!
とてもじゃないけれど、持ち上げようにもびくともしないくらい重い。
この首が折れそうな籠を、おばさん達は、いとも簡単に器用に頭に乗せ、
市場まで運んでくる。“アジアの力強さ”を垣間見れる瞬間だ。

1年中気候が温暖なこの島は、驚くほど豊富な食材に溢れている。
一般的な過程には冷蔵庫がないので、地元民は、毎朝新鮮な食材を各村の朝市で
仕入れて調理をするのが普通なのである。当然ながら、値段も、ぐっと安い。

屋台
ワルン(屋台)で、夜食。
夜食が食べたくなったら、
市場の奥にあるワルンで一休み。
「ミー・クワァ」や飲み物、
あれこれとお菓子を食べても
全部で1万ルピア(約150円)くらい。
食材も近所の売り場のおばさんから
直接仕入れているので新鮮なのだ。
ここでぼんやりと活気のある朝市の
雰囲気を味わうのも楽しい。

このワルン。ちょっとした店になってるものから、掘っ立て小屋のようなもの、
見るからに屋台といった感じのものまでいろいろある。大抵、駄菓子屋のような
品揃えで、飲み物や簡単な食べ物、お菓子、タバコ、生活雑貨等が置いてある。

よくバリ人が勝手にお菓子をとって食べてる姿などを見かけるが、ワルンでは、
お金の支払いは基本的に自己申告制。いろいろ食べた後、最後に自分の
食べたものをおばさんに告げてお金の清算をする。その間、おばさんは全然
見てないので、ごまかす奴もいそうな気がするが、これが皆、正直に申告するのだ!
昔から互いの信用によって成り立ってる商売なのである。懐かしくホッとする空間だ。

アバラも大分治ってきたので、最近ようやく海にも出かけるようになった。

ビーチからのながめ
padoma前。
アキヤンとタンジュン&ティビィ
波が上がった途端にスーパー・セッションに!
リザール・タンジュン(左)とティピィ(右)。

「PADOMA前」のポイントは、ここのところ地形が固まってきたらしく、いい波が
立っている。サイズが大きくなると、いきなり上手いローカルが殺到して、
スーパー・セッションになることも珍しくない。ローカル・サーファーはフレンドリーだし、
皆、もの凄く上手い。

やる気になれば、周りはすべて海。ポイントも豊富だ。
そんな恵まれた条件の中、毎日、海に入ってる彼ら…。
すでに世界的に有名になったリザール・タンジュンに続けとばかりに、
プロを目指して頑張る若手サーファーも、確実に増えている。将来が楽しみだ。
バイクに満載のおもちゃ
オモチャ売り。
バイクの荷台がお店
パン売り。

ビーチの木陰にも即席ワルンがある。昼時になると、物売りのおじさん達が休憩しに
やってくる。南国にありがちなパターンで、この島でも男はあんまり働かない。
道端や店先にボーっと座り込んでる男達というのもよく見かける風景だ。

自転車やバイクで直販する商売も多い。売ってるものも「玄関マット」や「布団」、
「オモチャ」など多種多様で、てんこ盛りに積んでるのが特徴。炎天下の中、
果たして売れるのか?と余計な心配したりして…。

ずらっと並んだ屋台
ローカル・フードなら屋台。
水色のかわいい屋台
屋台のデザインは可愛い。

さて、ちょっと小腹が空いた時に便利なのは、これ!
島の中には、至る所にこの「屋台」が溢れていて、地元民の大事な食生活を
支えている。学園祭の出店風デザインも、チープで可愛い。外国人用の薄味の
コジャレた雰囲気のインドネシア料理もいいが、レストランに比べて、火力も強いし、
味も濃く、なかなかイケる。

急いでいる時や、家で食べたい時には、「ブンクス(紙に料理を包んだもの)にして
持ち帰る。「ブンクス」というのは「包む」という意味で、つまり、“お持ち帰り”だ。
茶色い紙で包まれたお弁当。そのまま広げると皿になるし、食べ終わったら
そのまま捨てれるし、すごくシンプルで便利なシステムだと思う。

ナシ・チャンプルー
ナシ・チャンプルー
ご飯におかずが数種類ついたもの。
「チャンプルー」とは「混ぜ合わせる」の意。
バッソー
バッソー

バリ人の基本食は少しのおかずにたくさんのご飯。彼らはお米大好き人種だ。
食事も決まった時間に家族揃って… というのはなく、ど〜んと大量に作って、
各自、食べたいときに勝手に食べるという合理的なもの。

家族はそれぞれ自分の好きなペースで、食事を摂っているようにみえる。
そういうのをみてると、私には、バリ人家庭の食形式自体が、堅苦しくない
「屋台」感覚に思えてくるのだ。道路脇の「屋台」も、バリ人にとっては立派な
“家庭の味”なのかもしれない。

Tehbotol
テー・ボトル
ちょっと甘めの紅茶。
衛生的な心配をする人も
いるかもしれないが、
店構えをよく眺めれば、
どこが衛生的かどうか?は
観察すると意外にわかるものだ。
流行っている「屋台」ほど
食材が新鮮でおいしいのは
万国共通の事実。

たまには「屋台」で、ローカル・フードを
食すのもいい。値段も安いし、第一、気楽だ。
波乗り後に、冷えたビールとサテーで一杯、というのもなかなか乙である。

屋台
「マルタバ」の屋台。
「マルタバ」は揚げクレープ風ギョーザ
のようなもの。おいしいよ!
GOとアキヤン
小腹が空いたら屋台へ。

南国ののんびりしたリズムと、安い物価、お手軽な食事情。
治安も最高、波もいい… ときたら、“気が緩む”のも無理もないでしょう?
こうして気づくと、今日もゆったり且つ素早く、1日が終わっていくのであった。

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