FIRE DANCE


初めて「ファイヤー・ダンス」のことを教えてくれたのは、
ARTS FACTORY”の連中だった。 (ARTS FACTORY : Vol.27で登場)
『なんかバイロンベイで面白い所ないの?』と聞いた我々に、
『それだったら、ファイヤー・ダンス観るといいよ。』言う。
『何それ?どんなの??』
『毎週金曜日に“ARTS FACTORY”でやってるんだけど、
 もう、むちゃくちゃカッコイイんだよ!』
『ファイヤー・ダンスねぇ…???』
頭の中では、ハワイやタヒチのファイヤーダンスが駆け巡る。
“こんな場所で、そんなん観てもなぁ…”と、最初全く期待してなかった。
しかし、さして毎日予定もない我々にとって、断る理由もない。
とりあえず、行ってみるかぁと、次の金曜日に“ARTS FACTORY”に出かけて行った。
そして、そこで観たものは… 想像とはまったく違うものであった。

「Fire Dance」
ファイヤー・ダンス

誰が始めたかは定かではない。
只今、世界的に流行中のダンス。
“火”を使って華麗に舞う。
バイロンベイでは、毎週金曜日8:00から
「ARTS FACTORY」内の広場で、
ファイヤー・ダンスのショーを観る事が出来る。
リーダーのジャックは、(木)(土)の週2回、
2:00pmよりA$10で教室も開いてる。

到着したのは夜8時。
“ARTS FACTORY”内にある広場(下は砂地)は、
オープン・エアーのこじんまりとした空間だ。
すでに大勢の人が集まっていたが、一向に始まる気配がない。
ビールを飲みながら、そのまま待っていると、
8:30過ぎになって、ようやく「Si」の演奏が始まった。
Si
「Si」のCDジャケット。

会場
ここが会場。
「Si」は、“Didjeridu”(ディジュリドゥ) とパーカッションを組み合わせたバンド。
“Didjeridu”と言えば、アボリジニの聖なる楽器として有名だが、
彼らのそれは、ラップ風にアレンジしたもの。アボリジニの人々は怒るかもしれないが、
なかなかイケてる!

しばらく彼らの演奏が続き、9時近くになって、ようやくショーが始まった。
観客が円陣を組んだように座る中、1人の男性が火の灯ったファイヤー・スティックを
持って登場する。このチームのリーダーのジャックだ。

ジャック
リーダーのJack。
カッコイイよ。

ポイ
Pois(ポイ)。
ファイヤー・ダンスに使う道具は、ひとつは通称Staffと呼ばれるファイヤー・スティック。
そしてもうひとつが Pois(ポイ)と呼ばれるもの。
どちらも、先端の黒い部分に火をつけて使う。
ファイヤー
この女の子はCat。超キュート。

まさに息を呑む迫力!

バンドの演奏に乗って、まず、1人が出て来る。
抜群のスタイルに、ぴったりフィットしたコスチューム。
道具に火をつけると、それがダンスの始まりだ…。

音楽に乗って、体がしなる。
その振動を受けて“火”が動きだす。
まるでそれ自体が生命を宿したのごとく…。
最初ゆっくりした動きから、徐々に激しくなっていくダンス。
ビートに乗って踊るダンサーの周りには、次々と“火”の輪が出来て、
それらは、闇に浮かび上がって美しい残像を残していく。
Lucy
Lucy。

ビューティフル!

1人が終わると、次の人物が登場して、各自、思い思いのダンスを披露する。
ある時は1人、そしてある時は2人で…。
それぞれに、個性があって目が離せない。

狭いスペースなので、“火”が動く音まで聞こえる。
前列に座っていると、あまりの迫力に、ジリジリと後ずさりすることも…。
これはもう、ダンスというより立派なパフォーマンスだ!

フィナーレでは、全員が同時に出てきてパフォーマンスを繰り広げる。
それぞれのパフォーマーの動きは、美しく、しなやかで、
“火”と共に踊るというスリルをも楽しんでいるかのようだ。

圧巻!
ダンサー
ダンサーは真剣そのもの。

リーダーのジャックに聞いてみた。
Q.「ファイヤー・ダンスを始めたきっかけは?」
A.「ある時“オータネイティブ・ライフスタイル・フェスティバル”に参加したんだ。
そしてそこで初めてこのパフォーマンスを見た。その後、その中の1人の
パフォーマーに、レッスンしてくれるようアプローチしたのさ。
それが、1994年だから、もう8年になる。」
Q.「このダンスはあなたのオリジナル? どこで技術を習得したの?」
A.「もともとのオリジナルは、そのフェスティバルで。
その人は、ヒッピーだったんだ。でもその後、何年もかかって、
自分で自分の技術に磨きをかけたんだ。」
Q.「現在、あなたのチームは何人? バイロンベイではどれくらいやってる?」
A.「オリジナルメンバーは4人。(たまにゲストが入る)
バイロンベイでは5年になるよ。」
Q.「“ARTS FACTORY”以外での活動はしてるの?」
A.「勿論!パーティーやフェスティバルや、その他のイベントとかね。」
Q.「ファイヤー・ダンスをやるにあたって、火を使うわけだし、
恐怖を感じたりする時はないの? 怪我する可能性もあるでしょう?」
A.(笑いながら…) それはないね。始めた当初は多少はあったけど、
それよりも最初に火をつけた時の感動の方が強いよ。
とてもエキサイティングだった!」
Q.「日本に行く予定は?」
A.「誰か呼んでよ〜!(笑)
といっても場所柄、火を使える許可とかあって、いろいろと難しいんだ。
でも、お金を貯めて、いつかは行きたいと思ってる!」
Q.「将来の夢があったら聞かせて?」
A.「少人数のグループで、パフォーマンスをしながら、世界中を旅すること。」

Thank you Jack ! !
ダンサー
左端がJack。

人間が“火”を発見してから、一体どれくらいの時が流れたことか…。
“火”の発見が、人間に、はかりしれない恩恵をもたらしてくれたのは言うまでもない。

“火”に照らされ、“火”と同化して踊る。

大古の時代、神に感謝を捧げて踊った舞が、
長い長い時を経て、ファイヤー・ダンスという名の、
人間の自己表現の素晴らしいアートへと昇華していた!!

プリミティブな“火”を使って、現代的な音楽に乗って舞う。
日本のクラブとかで、こんなパフォーマンスがあったら、さぞかしカッコイイだろう。
クラブ関係者等で、興味のある方、是非御一報下さいませ。

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